秘密の存在４【H×H】 (ページ18)

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１３８、旅団の針子は姉御肌ページ18

クロロの後に続いて廃墟に足を踏み入れれば、広間にはマチが荷物を肩にかけて立っていた。
彼女はすぐに此方を向いて歩いてくると、ずいと布袋を差し出してくる。

「おかえり。これアンタの服」

「ありがとう、マチ。貴女もおかえりなさい」

布袋を受け取ってお礼を言えば、彼女は視線を逸らして短く返事をした。照れ臭いらしく、ちょっと頬が赤くなっている。

「早く着替えてきなよ。ってそういやアンタの部屋まだないんだっけ、アタシの部屋貸してやるから来な」

「あ、お願いがあるのだけど」

「なんだい」

歩き出すマチに追従しながら、ドレスを縫い直してほしいと伝えればマチは首だけで振り返った。

「それ、あいつらに言われたんだろ」

「あいつら？」

「ウボォーとかノブナガとかフィンクス辺り」

「すごい、正解よ。どうしてわかったの？」

「勘」

勘だけでそこまでわかるなんて。思わず感心していると、彼女は何故か厄介だと言いたげに眉を寄せた。

「根拠はあるよ。アンタが昨日今日でアタシの特技まで知れるわけないしさ」

「それもそうよね……でも、それで誰が言ったかまでわかるものなの？」

マチの部屋はクロロの部屋と同じくらい簡素な部屋だった。

「ドレスってのはね、普通の服と違って縫い直すもんじゃないんだ。どれだけ隠してもバレる時はバレるし、特にそれみたいな裾が思いっきり裂けたやつは痕を隠すのも難しい。団長やパクは分かってるだろうけど、ウボォー達はその辺考えないからね。普通に考えればもう着る機会もないだろ」

そういえばそうだ。よくよく考えれば着る機会なんてそうそう来ない。

「でも、折角貰ったものだから着れるようにしたいのだけど……駄目かしら」

仕事のためとはいえ、シャルナークに買ってもらった物だし大切にしたい。勿論ヒソカに買ってもらった物もできればいずれ回収するつもりだし、マチに貰った服も大切にするけれど。
マチは食い下がる私の顔をじっと見て、それから溜め息をつくと頷いた。

「仕方ない、ちょっと手を加えるけど着れるようにしてあげるよ」

「！本当！？」

「ん。言っとくけど、裾は短くするからね」

「それで問題ないわ、ありがとう！」

「はいはい。ついでに風呂も入ってきな」

指差された方向を見れば、バスルームに繋がっているらしき扉があった。
もう一度マチに礼を言えば、マチは「早く行きな」と乱暴に言って私の背中を押した。