秘密の存在４【H×H】 (ページ13)

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１３３、挑発ページ13

【フェイタン side】

馬鹿にされている。舐められている。ワタシはそう感じていた。
壊したら楽しめないと思い手加減した節もある。それでもすぐに立て直す頑丈さは面白いが。

だからこそ気に入らない。何故本気で戦おうとしない。何故攻撃してこない。
アイツの言う約束。人前で練をしない、というものも気にくわない。

「……あまり私にとって理由のない戦いはしたくないの」

理由のない戦い？
理由ならある。

「お前、ワタシに勝たなきゃずとこのままよ。最初に言たね、ワタシが勝たらお前好きにすると。ワタシはお前が負けるまでやめないよ」

「その、好きにするって何かしら」

怪訝な表情で問いかけてくる女に、ワタシは笑って見せた。女がやる気になるよう、恐怖に歪んだ顔で必死に勝とうと動くように。

「ワタシ勝たらお前を拷問するね。爪剥ぐ、皮削ぐ、末端から切り落とすも見てみたいよ」

その美しく整った顔がどれ程歪むだろう。どれほど汚れるだろう。
残念ながら最後のは団長に止められるだろうから見ることは出来ないが、言うだけでも効果はあるだろう。

期待しながら女の顔を見つめる。変化を一つも逃さぬように。

女は。女の、表情は。

笑っていた。妖艶に、尊大に、気品すら溢れる笑みで、目だけが笑っていない威圧的なもの。
肌が粟立った。全身の毛が一瞬にして立ったような感覚がした。

女の放つ気配が先程までとまるで違う。圧を増し、存在感がある。弱い女のそれではない。
オーラは先程までと変わらない纏であるのに密度が変化したような気さえする。
思わず見入る。魅せられる。

「わかったわ……勝てば、いいのね」

「！」

女の初動になんとか合わせて動き、初撃を阻む。刀を振るい打ち払えば、右手を動かした段階で女は既に離脱していて背後に回られた。
ならばと払った刀の勢いをそのままに振り返れば、いとも容易く刀身を摘まんで受け止められ。

「お返しよ」

振り抜かれそうになった拳を掴んで受け止めた瞬間に鳩尾に膝蹴りが入れられる。
重く速い。先程までの防戦一方のものとは違う。いや、防戦一方ではなかったのか。

「お前、ワタシの癖見てたか……っ！」

「ご名答！」

ぐっと首を引いた女がそう答える。不味いと思ったものの、片手は掴まれもう片手は刀を掴まれているため防御する術がない。
慌てて額にオーラを集めるが、それよりも速く女が同じ量を額に集めていて。

脳に衝撃が走り──ワタシの意識は暗転した。