秘密の存在４【H×H】 (ページ12)

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１３２、賭けページ12

【クロロ side】

「賭け？」

「うん、しようよ。きっと面白いからさ」

木の上に座るシャルナークの言葉に、ソフィアがフェイタンの速度に食らいついている光景に見いっていた団員たちも乗り気になって賭けを始める。
内容はもちろん、どちらが勝つか、だ。

「フェイに決まってんだろ。見ろよあれ、ずっと防戦一方だ」

「攻撃する素振りもねえしな」

「最近鈍ってきてるとはいえフェイタンは俺らの中じゃダントツに速いしね。ついてってるソフィアも相当だけど。団長はどうする？」

話を聞くに、今はノブナガ、ウボォーギン、フィンクス、シャルナークの四人はフェイタンに賭けるようだ。パクノダは不参加らしい。

ふむ、と考える。確かにソフィアは防戦一方だ。フェイントに翻弄されているようにも見える。
対するフェイタンは手加減を交えながらも遊んでいる。どちらが優勢かなんてわかりきっているように見えるだろう──表面上は。

「やっぱ団長もフェイタンに賭ける？」

「いや、俺はあの女に入れる」

「まじ？うあー」

奇声を上げたシャルナークに目を向けたら、シャルナークは脱力してへたり込んでいた。

「なんだ」

「や、団長が一人だけ別に入れた時って大抵団長が一人勝ちするじゃん。早まったかなって」

「まーだ結果はわからんぞぉシャル！」

「ノブナガの言う通りだ。俺らが賭けに勝ったら団長に酒おごってもらおうぜ！」

「おっそりゃいいな」

「それフラグって言うんだからね！」

わはははと豪快に笑う強化組に、頭を抱えて溜め息をつくシャルナーク。全員を見て楽しげに口元に手を当てるパクノダ。
その光景に充足感を得て、俺は再び戦況に目を戻す。

「攻撃しないも何も、する暇がなかったんじゃねーのか？」

フェイタンが何故攻撃しないのかと問うたところで、フィンクスが呟くように言った。
その呟きは正解だ。ただし、俺とフィンクスでは見解が違う。

フィンクスは”女は防御に精一杯で攻撃する暇がない”と見ている。それは他の団員も思っていることだろう。
だが、もし。もし、”女が防御しながらフェイタンの癖を見抜くことに集中していて攻撃する暇がない”のだったら？

攻撃を紙一重で防ぎ、避け、時に受けながら……それでもあいつの目は目的を持ってフェイタンの動きを見ているように見える。
俺の勘が正解ならば賭けは俺の勝ちだが、はてさて。