125、数日ぶりの睡眠 ページ5
「すっごく納得いかないのだけど」
「なら逃げればいい。逃がさないし追うけどな」
結局決定事項になってしまい、まだ部屋の用意もできてないからということで私はクロロの部屋で寝泊まりをすることになった。
おまけにそこにあるソファーで寝ると言ったにも関わらずシングルサイズのベッドを譲られた。というよりソファーを占領された。本当に納得いかない。
クロロの言う通り逃げればいいのだけど、そうすれば彼らは全力で追ってくる。獣性を使わない限り撒くのは至難の技で、撒いた後も追われ続けることを考えると逃げるより従った方が楽だろう。
「お前、ヒソカと合流する気だっただろう」
本に目を落としながらクロロが言う。
「どうしてわかるの……」
「少し考えればわかることだろう。お前がイルミの家に向かったのはヒソカから聞いた。奴が天空闘技場に向かうこともな。だが、恐らくお前はゾルディックに追われることになった。手ぶらであることやシャルに報酬を要求していたことを考えるに、所持品全て置いてきたんだろう。その時点で誰かを頼ろうとすると、消去法でヒソカだからな」
クロロは所在がわからない上にそもそも私と関わりがない。イルミは対立中で無理、あの街はククルーマウンテン周辺では天空闘技場に一番近い位置にあることも考えると……と、考察をつらつら並べ立てられる。
目は字を追っているのに思考を回せるなんて。しかも当たってるから恐ろしい。
「試験中に出会った他の誰かと合流しようとしてたとは思わないの?」
「あのヒソカといる時点で大抵の人間は敬遠すると思うぞ。そもそもあいつ程の強さがなきゃゾルディックの者は相手に出来ん」
クロロがやけに実感の籠った声で言い切る。
「随分と知ってるのね」
「イルミと関わりがあるからな」
それにしては、実感が籠りすぎている気もするけれど。
なんとなく違和感を感じはしたものの、追及はせずにベッドに横になる。やはり何日も活動し続けていたせいか体が重い。車内での仮眠だって気休め程度にしかならなかった。
(これから、どうしようかしら)
誰も巻き込まないように一人で逃げ続けることは出来るが、それを続けて何になるのだろう。
邪魔をされ続けるのだって気にくわない。ソフィアが自分を追う執事たちを放置しているのはイルミとキルアの家で働いてるからだ。そうでなければ、とっくに殺している。
回らなくなり始めた思考を止めて、微睡みに身を委ねた。
170人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クロ | 作成日時:2019年6月1日 15時