秘密の存在４【H×H】 (ページ36)

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１５６、乾杯をしようページ36

【no side】

ソフィアの存在感が変わったその瞬間。オーラの質が徐々に変化していき、黄金の光を放ち始めたその姿は誰の目から見ても神々しくて。
まるで女神のようだと、クロロは思った。

拠点内の異変を察知したシャルナークは広間に足を踏み入れるや否や驚き、そして目を奪われたかのように惚ける。
誰もソフィアを制止しない。できないのだ。

それほどまでに圧倒的だった。どんなに心惹かれる芸術品でも、どれほど美しい美術品でもその前では色褪せてしまいそうな程に優美な存在感。オーラ自体の動きはないにも関わらず、溢れんばかりに感じられる力の波動。

奇跡でも起こすようなその光景に誰もが言葉を無くした。
そしてそれは実際に、起きた。

「……余計なお世話ね、折角蜘蛛のために死ねる思てたのに」

殺気が霧散し、練だったはずのオーラが纏の状態になる。ウボォーギンもそれを感じて纏の状態になると、信じられんと言わんばかりに押さえつけている男を見下ろして。
憎々しげに、けれどどこか放心したように、フェイタンが様々な感情を込めた言葉を放つ。
ソフィアはそれに対して何も言わず、そっと彼の前から退いた。

「フェ……イタン？」

「そうよ。ウボォー放すね、これ結構痛いよ」

ノブナガの呟くような声に、拘束されたままのフェイタンが答える。
それを切っ掛けに全員が今起こった事実を認識した。フェイタンにかけられた念が、解けたのだと。

「てめ、フェイタンこの野郎！この……っ馬鹿野郎が……！！」

「ちょ……やめろ、降ろすね。何持ち上げてるか」

半ば子供にするような高い高いの状態になったフェイタンがばたばたと空中で手を動かすが、がっちり掴んでいるウボォーギンの手はビクともしない。それどころか下にいるノブナガに号泣されてしまっている。

「うるせえ！こっちがどれだけ……！」

「今日は飲むぞ！シャル、ありったけの酒もってこい！」

「えー！？冷蔵庫にもうないんじゃなかったっけ？！」

「うん、ないよ」

シャルナークが滲んでいた涙を引っ込めて叫ぶと、マチが相槌を打った。

「だったらその辺走り回って集めてこい！」

「ひっど！！俺にも喜ばせてよねー」

「帰ってきてから存分に喜べば良いじゃねえか。なあ、団長？」

期待に満ちた視線がクロロに向けられ、静かに、だが内心で高揚感を味わっていたクロロは口角を上げた。

「ああ、祝いだ。ありったけの酒を集めようか」

平和な喧騒に乾杯を。