90、災厄は感じ取る ページ10
【no side】
ゾルディック本邸には、モニタールームがある。屋敷内の様子を見る監視室であるが故に、通常の執事は入れない特別な場所である。そこではある存在の監視も行っていた。
そして今、監視していたある存在が普段とは全く違う行動をとった。
『ナニカが、お姉ちゃんがこっちに来てるって言ってるよ?』
声の主はゾルディック家四男、アルカ。彼は内部にいるモノ──ナニカの意思を感じ取って監視カメラに語りかけてきたのだ。
執事はすぐに当主直属執事のツボネに連絡を取った。
「ツボネ先生、アルカ様に変化が」
『どういうことだい』
「アルカ様は何事かを呟かれた後、監視カメラに向かってこう仰られたのです。ナニカ様が、お姉ちゃんがこっちに来てると言っている……と」
『わかりました。貴方はそのままいつも通り業務をこなしなさい。シルバ様には私から報告します』
「了解です」
通信機を置き、ふっと息をつく。そのまま画面に目を移すと、執事はアルカの動向を注意深く見守るのだった。
***
『シルバ様、ゼノ様、アルカ様に異変があったと報告があがりましてございます』
「なんじゃと?」
「何があった」
とある町のビルの上、ゾルディック現当主と前当主は通信機から直属執事の報告を聞いた。
たった一言。ナニカが意思を動かしたことを伝えるだけの言葉。だがその内容の不可解さに、二人は顔をしかめる。
「ナニカが”お姉ちゃん”と呼ぶ者……親父、わかるか」
「わからん」
ゾルディックの兄弟に女は存在しない。そもそも、家族はナニカを家族と認識していない。
ナニカがお姉ちゃんと呼ぶ存在。それがゾルディック邸に向かっているという。
目的は? 理由は? ナニカとの関係は?
わからない。だがナニカの正体を知るかもしれない人物。
危険だ。未知数だ。
「シルバ、帰るぞ」
「仕事はどうする」
「延期じゃ。どちらにせよ残りは無期限の依頼じゃろ」
「了解した。ツボネ、発つ準備をしておけ。すぐに帰るぞ」
『かしこまりました』
会話を終えると、二人の姿はビルの屋上から跡形もなく消えた。
それからまもなくして、付近の空港から一機の飛行船が離陸していった。
93人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クロ(プロフ) - ユウさん» ユウさん、閲覧ありがとうございます!わあああ面白いの言葉を頂けるとは!めっちゃ嬉しいです! オチはまだアンケート中ですので是非楽しみに待っててください! (2019年6月1日 7時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - ヒソカ、イルミ、フェイタンが好きで、ヒソカオチを捜してたどり着きました!面白いです続きを楽しみにしてます。 (2019年6月1日 2時) (レス) id: 0277b1537e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クロ | 作成日時:2019年5月18日 18時