112、追うか追わぬか ページ32
【イルミ side】
「どういうことだ、イルミ」
「親父」
家族内指令。そう呟けば、親父と爺ちゃんが目を見開いた。
インナーミッションと呼ぶそれは、家族内で考え方や方針が異なった際に発動されるもの。意見を統合したりはせず、それぞれ自分のやり方で目的を達成する。
「オレはソフィアを殺したくない。でもソフィアに操られてないと証明したいから手も出さない。その代わり彼女が期間内に逃げ切ったら嫁候補にする」
「……本気か?」
「本気。家族内の殺しはご法度だから、オレはソフィアは殺さない。嫁にする予定だしね。親父達が追うなら勝手にやって、止めないから」
彼女の表情を思い出す。あれはオレが殺したいと思ってるなら殺されてもいいと本気で思っている顔だった。
なんであんな顔できるんだろう。死なないから?
どれにせよ、殺せる気がしなくなってしまった。殺す気だったのに殺せなかった。これじゃダメだとわかっているけれど、どうしようもない。
「奴がオレから半年逃げ切れたら考えよう。親父はどうする」
「……イルミの成長に免じて静観じゃ。気になる部分もあったしの」
「成長? オレのどこが?」
爺ちゃんはニヤリと笑うのみで教えてくれない。こういうところは本当にムカッとする。
眉を寄せたオレの隣で親父が通信機を取り出した。ミルキや母さんはずっとオレ達の状況を見ていたから、今の話も聞いていたはずだ。
「キキョウとミルキは?」
”私は静観致します。ソフィアさんには是非ともイルミの嫁に来てほしいですから……能力については本人に聞けば良いでしょう”
”オレは親父に協力する。念能力使ってないのに完全回復、空間操作とかヤバすぎだし、ナニカについて知ってることも考えると捕まえて聞き出した方が良い”
「キルアとカルトには情報を秘匿しろ。特にキルアにはな」
了承の声を聞いて、親父が通信を切る。青い瞳がこっちに向いたのを見て、少しだけ身を固くした。
伸ばされた手を見て思考が止まる。家族間での殺しは禁止なのに、殺される、とか考えた。
でも、伸びてきた手はオレの頭を撫でていて。
「好きな女ができて、尚且つそれを守りたいと思うようになったか。相手はともかく、イルミもやっとそんな年頃か……感慨深いな」
「……」
一度二度ぽんぽんと撫でられる。しみじみとした親父の声が意外で少しの間オレは呆けた。
「それはそれとして、半年オレの代わりで親父と依頼をこなせ。いいな」
「……、うん」
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クロ(プロフ) - ユウさん» ユウさん、閲覧ありがとうございます!わあああ面白いの言葉を頂けるとは!めっちゃ嬉しいです! オチはまだアンケート中ですので是非楽しみに待っててください! (2019年6月1日 7時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - ヒソカ、イルミ、フェイタンが好きで、ヒソカオチを捜してたどり着きました!面白いです続きを楽しみにしてます。 (2019年6月1日 2時) (レス) id: 0277b1537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2019年5月18日 18時