８４、恐れは杞憂に ページ4
鞄の中を軽く漁って、一番始めに貰った白いワンピースに着替える。ふんわりとしたこのワンピースは着やすくて楽だ。
切り裂かれ、血が染み込んだまま乾いてしまった服を見下ろす。もう着れないそれらはヒソカと買ったものだと考えると捨てていく気にもなれなくて、鞄から予備の袋を取り出してしまいこむ。
(私を待っている人……誰かしら)
一番可能性があるのはゴンだ。私の能力を見ていないから、化け物扱いをすることもない。
準備を終えると、部屋を出る。体が汚れたままなのは自覚していたが、待っている人が気になってゆっくり入れそうになかった。
「ソフィア」
「っ、？」
部屋を出て数歩もしない内に、横から強い力で抱き留められる。特徴的な黒くて長い髪が上から流れてきて、私を抱き締めてる人がイルミだと知った。
「イルミ？」
「……オレのこと、嫌いになった？」
小さな声で呟く彼は、どこか頼りなげだ。私の治りが異常に早いことには一言も触れてこない。
「なんで、嫌いになるの？」
「ソフィアが怪我する原因になったから。ゴンにも言われた。”ソフィアとキルアに謝れ”って。キルは半分自業自得だから謝らないけど、ソフィアには謝らないとってずっと思ってたんだ」
なんだか、イルミの方がかなり混乱してるようだ。早口で言いながら、私を抱く力が強くなってく。
「嫌いになんてなってないから、落ち着いて」
「……なんで？」
「なんでって、キルアの意思を否定してたのはちょっと怒ってるけど。でも貴方も兄として連れ戻そうとしただけでしょう？ 貴方には貴方の意思や立場があるのだし、嫌いにならないわ」
強くなっていた腕の力がふっと弱まって、そっか、と呟く声がした。
それでも抱き締められたままなのがちょっと気になるけど、私も聞きたいことがある。
「貴方は私のことを嫌ったりしてないの？ ……私は普通じゃないのに」
「ソフィアを嫌いになんてならない。普通とかそうじゃないとか、オレは気にならない。むしろ生き返ってくれて、良かったって思ってる」
「うーん、イルミに先に言われちゃった◇」
ヒソカの声がした方を向けば、彼は此方に歩いてきていたところだった。
金色の瞳には私への恐怖や恐れとかは一切浮かんでおらず、むしろ安心したような優しい感情が浮かんで見える。
「ボクも、キミがちょっと人と違ったって気にしない。ソフィアがボクの世界から勝手に消えなければいい◇」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 93人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クロ(プロフ) - ユウさん» ユウさん、閲覧ありがとうございます！わあああ面白いの言葉を頂けるとは！めっちゃ嬉しいです！ オチはまだアンケート中ですので是非楽しみに待っててください！ (2019年6月1日 7時) (
レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - ヒソカ、イルミ、フェイタンが好きで、ヒソカオチを捜してたどり着きました！面白いです続きを楽しみにしてます。 (2019年6月1日 2時) (レス) id: 0277b1537e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クロ | 作成日時：2019年5月18日 18時
