１０４、その瞳は揺らいでる ページ24
＊＊＊
「……イルミが嫁候補の娘を連れてきた、だと？」
「十中八九、間違いなく”お姉ちゃん”じゃろうな。問題は、屋敷に着くよりも早く察知したということじゃが」
「どちらにせよナニカとの関係性を問わねばなるまい。イルミの意思もな。考えたくはないが、奴に魅入られている可能性もある」
＊＊＊
「そろそろ効いてきた頃だと思うけど、気分はどう？」
キシリとベッドが軋んだのを耳にしてうっすらと目を開ければ、イルミが腰かけて私を見下ろしていた。彼の言葉が音ではなくちゃんと言語として聞き取れる。
まだくらくらと視界が揺れてはいるものの、意識はむしろ明瞭になってきた。
「……少なくとも、言葉が聞き取りやすくはなったわ」
「もうそんなに喋れるんだ、普通ならあと一日は意識が朦朧とするはずなんだけど。もしかしてソフィアの自己回復って毒にも効く？」
問いかけというよりは確信に近い言葉に、そっと目を閉じてため息を吐く。本当に洞察力が優れている。
瞼を持ち上げて再び視線を送れば、真顔で小首を傾げていた。さらりと流れた彼の黒髪を指先で掴んで弄る。
「当たりよ。同じように、病気も治す……というよりは、発症する前に治すから……そもそもかからない、わね」
「ふぅん……」
軽く髪を弄られている感覚が伝わったらしく、黒い瞳が私の手元へ向けられる。暫くじっと見つめていたが、どうやら気にしないことにしたようだった。
「どうして我慢したの」
ぽつりと声が落ちる。あやふやだった時に聞いたような、小さな声音。
「我慢？」
「毒。入ってるのわかってたよね、あれ効くの早いから。意図的に隠しただろ」
どこか乱暴な口調に、イルミが苛立っていることが感じられて驚いた。
普段徹底的に感情を見せないイルミは、声音に感情が乗っていないことの方が多くて読みにくい。むしろ感情が乗っていればそれは余程のことなんだと思っている。
だからこそ、彼が怒りを見せたことで申し訳なさが募った。
「オレを疑ったから？ ねえ、なんで」
むしろ私を疑っているように見える彼は身を乗り出し、両手を私の顔の横に置くようにして覆い被さってくる。垂れた黒髪がさらりと落ちた。
つい先程までは絶の状態だったのに、不安定になり始めているからかじわりじわりとオーラが滲み出ている。
その中に殺気が混ざっているのを感じて、私はゆるく目を細めた。
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クロ(プロフ) - ユウさん» ユウさん、閲覧ありがとうございます！わあああ面白いの言葉を頂けるとは！めっちゃ嬉しいです！ オチはまだアンケート中ですので是非楽しみに待っててください！ (2019年6月1日 7時) (
レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - ヒソカ、イルミ、フェイタンが好きで、ヒソカオチを捜してたどり着きました！面白いです続きを楽しみにしてます。 (2019年6月1日 2時) (レス) id: 0277b1537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年5月18日 18時
