93、絶対服従の狩猟犬 ページ13
閉じた門の向こうでレオリオが騒ぐ声がする。
「そんなに重いの?」
「ソフィアが開けた重さは7の門で256トン。鍛練を積んだやつでも常人じゃ決して開けられないんだよ。ましてや、ソフィアはその薄い纏のままで開けたでしょ」
頷けば、また溜め息をつかれる。何なのだとイルミを睨めば、呆れながらも説明してくれた。
纏でオーラを纏えば常人よりは身体能力が向上する。でもそれはあくまで生命力の流出を防いでいるからであって、超人的な力が使えるような状態じゃないんだそう。
私の纏はとにかく薄くしているから、体の状態も念を使ってない素の時とそんなに変わらないんだとか。
「つまり、常人とほぼ同じ条件でやった……ということ?」
「うん。それで7まで開けるなんて凄いね、こんなに細い腕してるのに」
「イルミのも細いと思うけど」
「オレのはちゃんと筋肉ついてるし」
なんなら触ってみる?と腕を差し出される。確かめなくても、一見細身なイルミが筋肉質な体を持っているのはわかってるけど。
そっと撫でてみれば、服の上からでもがっしりとした筋肉の感触がある。こうして触ってみると彼の言う通り、私の腕とは違うんだと感じた。
そのまま暫く撫でながら歩いてると、差し出されてた腕が離れてく。
「イルミ?」
「……くすぐったいからおしまい。ほら、あれがミケだよ」
視線の先にいたのは、そこそこ大きな獣だった。瞳は黒く、感情の揺らぎが全く見えない色をしている。
成る程、これがミケ。
「完璧に訓練した狩猟犬。あの門以外から敷地に入ったやつを噛み殺す命令を受けてて、一族の命令以外は聞かない」
「もふもふね。触っても?」
「……いいけど」
ゆるりと近付く。ミケは私の一挙一動を注意深く捉えている。鼻先に触れ、撫でさする。
ミケを見て、私は感情を抱かない。獣の世界が弱肉強食であることを知っているから。人間の世界だってそれがちょっと違うだけで本質は何も変わらない。
暫く撫でてると、不意にミケが動いた。すり、と一度頭を私に擦り付けると、鼻面で私を押して立ち上がる。そのまま、試しの門の方へと歩いていった。
「行っちゃった」
「ミケが一族以外の人に甘えるとこ始めて見た……何なのホント、あんまり規格外だと困るんだけど。オレの嫁にできなくなるじゃん」
戻ってくると、イルミが口元に手を当てて凄い深刻そうに何か呟いていた。
「どうかした?」
「なんでもない。早くいこう、もう夜だし」
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クロ(プロフ) - ユウさん» ユウさん、閲覧ありがとうございます!わあああ面白いの言葉を頂けるとは!めっちゃ嬉しいです! オチはまだアンケート中ですので是非楽しみに待っててください! (2019年6月1日 7時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - ヒソカ、イルミ、フェイタンが好きで、ヒソカオチを捜してたどり着きました!面白いです続きを楽しみにしてます。 (2019年6月1日 2時) (レス) id: 0277b1537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2019年5月18日 18時