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92、友達 ページ12

「待ってくれ!」
「待ってソフィア!」
「待て待て!」

「……何」


三人の声に、イルミが振り返ってムッとした様子で言う。表情は相変わらずの無表情なのだけど、どことなく威圧感がある。


「ソフィア、君が何者でも私達は仲間だ。その気持ちは変わらない」

「サトツさんから聞いたんだ、ソフィアが人とは違う力を持ってるって。でも、そんなの関係ない! 俺たち、友達だよ!」

「二人の言う通りだぜ。それにその力があったからソフィアは今ここに居れるんだからな!」


それぞれ信頼を浮かべて、私に笑みを向けてくる。暖かい笑みだ。


「ええ、皆友達よ。何があってもね」


頷いて肯定すれば、肩を引かれてイルミに抱き寄せられる。首を反らして見上げれば、先程よりも威圧感の増したイルミがこっちをじっと見下ろしていた。


「気に入らないって思ってるように見えるわよ?」

「当たり前。ソフィアはオレの嫁候補なんだから」

「言ったでしょう、友達が作れないなら嫁候補にはならないと。それに私は私のものよ」


イルミはそれには返答せず、無言で腕を動かすと私の首に手を這わせた。視界の端で三人の表情が驚きと焦りになったのが見える。
くっと指先に力が入り、軽く圧される。イルミの瞳の奥が微かに揺れるのが見えて、私は目を細めた。

それを見た彼ははっと息を呑んで、指先から力を抜いた。すぐに体が離れる。


「……行くよ」

「はいな。あ、ところでこの門ってもしかしなくても重い?」


飛行船から見たときは重厚な塀だったから、門もそのままの造りならかなり重いだろう。


「うーん、とりあえず開けてみてよ」

「むぅ……わかったわ」


軽く伸びをして、体のスイッチを入れる。背後でレオリオが「オレですら開かなかったのに開けられるかよ」と言っている。レオリオは試した後のようだ。
タンクトップ姿のお爺さんの横を通り抜けて、門の前に立つ。

両手を当てて軽く力を入れる。ビクともしない。もう少し強めに力を込める。

ズッ、と音を立てて、門が開いていく。


「おいおいまじかよ……!」

「七まで……?!」


久しぶりにここまでの力を出した気がする。出す機会自体があまりないから、当然と言えば当然だけど。
完全に開いた門を両手で押さえてイルミを振り返る。


「開けたわよ?」

「……ねぇ、キミどれだけ価値を高める気なの」


心底複雑そうな表情で彼は溜め息をついた。開けろって言われたから開けたのに、溜め息をつかれるなんて心外だ。

93、絶対服従の狩猟犬→←91、門の前で



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作品ジャンル:恋愛
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クロ(プロフ) - ユウさん» ユウさん、閲覧ありがとうございます!わあああ面白いの言葉を頂けるとは!めっちゃ嬉しいです! オチはまだアンケート中ですので是非楽しみに待っててください! (2019年6月1日 7時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - ヒソカ、イルミ、フェイタンが好きで、ヒソカオチを捜してたどり着きました!面白いです続きを楽しみにしてます。 (2019年6月1日 2時) (レス) id: 0277b1537e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クロ | 作成日時:2019年5月18日 18時

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