117、護衛と接触 ページ37
【ソフィア side】
ソフィアに似合うだろうからとセイがドレスとアクセサリーを選び、会計を済ませるのを眺める。買ってもらうのが申し訳ないと一瞬考え、彼のパートナー役をするのだからと思考を振り払う。
外を見やれば、随分と影が濃くなってきている。もう夕方になるようだ。
「ソフィア」
「何かしら」
「パーティーに遅れそうだから、此処で着付けてもらってて。俺はホテルに戻ってスーツに着替えるからさ」
「ええと、待ってたらいいの?」
首を傾げれば、セイは本当に理解が早いと嬉しそうに笑った。
「うん、支払いはもう済んでるし着付け終わったらこの店の前で待ってて。護衛の奴置いてくよ」
「貴方は大丈夫なの?」
「大丈夫、迎えも来るから。これでもちょっとはやるんだよ?」
そう言って無害な笑みを見せる彼は虫も殺せないように見えるが、本人が言うなら腕がたつ方なのだろう。
素直に頷いて待っていると伝えれば、セイは安心したように笑って「また後でね」と言うと店を出ていってしまった。
***
店員の礼を背に店の外に出れば、外はもうすっかり夕闇が落ちていた。
パーティーがどこで開かれるのかとかは全く知らないが、成る程確かに急がなくてはと思う時間だ。
感じる視線の数が減っていることを考えると、ゾルディックの執事たちは私が人といることで警戒から監視へと態勢を移したらしい。
「……はぁ」
靴もドレスも新しいものに変わって、複雑な気分になる。
ヒソカに貰った服も最終試験で破けてしまったし、ゾルディック邸に置いてきてしまった。そのゾルディック邸で着付けてもらったドレスもダメになった。
思えば、ヒソカやイルミに出会った時のドレスだってダメになった。移動する度に服を駄目にする呪いでもかかっているんじゃないかと、少しだけ気落ちする。
(ダメね、物は大切にしろと言われてたのに)
くるくるとこめかみを流れる髪を指先で弄ぶ。立食パーティーということで大部分の髪は編まれて纏められているが、サイドの髪だけは垂らした方が良いと残されたのだ。
思えば店員は随分と着付けにやる気を出していたように感じた。
「……それで、貴方は何のご用かしら」
一等鋭い視線の主が背に近付いていたことには気付いていた。その気配が、セイの護衛の気配であることも。
「気付いてたか」
「突き刺すような目で見られたら、誰でも気付くと思うわ」
振り向かずに言えばハ、と、笑ったような音がした。
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クロ(プロフ) - ユウさん» ユウさん、閲覧ありがとうございます!わあああ面白いの言葉を頂けるとは!めっちゃ嬉しいです! オチはまだアンケート中ですので是非楽しみに待っててください! (2019年6月1日 7時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - ヒソカ、イルミ、フェイタンが好きで、ヒソカオチを捜してたどり着きました!面白いです続きを楽しみにしてます。 (2019年6月1日 2時) (レス) id: 0277b1537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2019年5月18日 18時