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101、悲しい当たり前 ページ21

【イルミ side】


「今お義父様とパパ……イルミのお祖父様とお父様は仕事で出掛けているのです。直に戻ると連絡が入りましたし、挨拶は明日に致しましょうね」

「ええ、お母様」


母さんやカルト、ミルキと話しながらソフィアは美味しそうにオレの作った料理を食べてくれている。そのことに胸が暖かくなるような心地を覚え、誰にも悟られぬようひっそりと息をついた。

闇人形にこの感情は要らない。幾度も思ったことだけど、不愉快でないせいか中々気持ちを殺せないでいる。
厄介だ。けど、不快ではない。矛盾した思いにどうすればいいのか悩む様は、”強すぎる光に惑ってるだけ”とキルに例えた通り。

戻れなくなってる。自覚したときには手遅れなくらいに想いが育っていて、どうしようもないくらいにソフィアが欲しいと思う自分がいる。
ヒソカもそうなんだろうか。あんな姿晒すくらいだからそうなんだろうな。なんだかちょっと気に食わないけど。


「そういやさイル兄、ソフィア……姉って、毒慣らしてないのか?」


ミルキが呼び捨てするのも気に食わなくて、ちょっと視線に殺気を込めるとすぐに訂正した。


「うん。なんで?」

「……調理器具、どこの使った?」

「どこのって」


調理場のだけど。とは、声にならなかった。ソフィアが椅子から崩れ落ちたから。
シン、と静まり返る食堂がどこか遠く感じる。


「ソフィア」


呟いた声は酷く小さく、自分の声なのに馬鹿らしいほど弱々しく聞こえる。
素早く立ち上がり側に寄って、ソフィアの容態を見ようとしていた執事を自分がやるからと遠ざけた。

食事前と変わらない顔色で目を閉じている彼女は、それでも苦しげな表情をしていて、呼び掛けに辛うじて答えはするものの意識が混濁しているのが見てとれる。


(なんで)


毒は入れなかった。食器だって仕込まないものを買った。家族の食事に気化毒がないことも確かめた。
原因を探らんと、ソフィアの食事を一舐めする。


(今日出されたのとは違う毒)


速効性のもので一瞬にして回る。摂取量によって目眩、発熱、意識の混濁を引き起こし、殺害目的というよりは力を削ぐためのもの。


『調理器具、どこの使った?』


(まさか)


調理器具そのものに毒が仕込まれていた、もしくは毒が染み込んでいた──可能性。
否定できない。だってオレ達には毒食が当たり前だったから。それが当たり前、だから。


先程までは暖かかった胸が、今は酷く冷たいように感じた。

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作品ジャンル:恋愛
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クロ(プロフ) - ユウさん» ユウさん、閲覧ありがとうございます!わあああ面白いの言葉を頂けるとは!めっちゃ嬉しいです! オチはまだアンケート中ですので是非楽しみに待っててください! (2019年6月1日 7時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - ヒソカ、イルミ、フェイタンが好きで、ヒソカオチを捜してたどり着きました!面白いです続きを楽しみにしてます。 (2019年6月1日 2時) (レス) id: 0277b1537e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クロ | 作成日時:2019年5月18日 18時

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