81、奇術師の特別 ページ1
【ヒソカ side】
会長に言われた部屋で、ボクは眠るソフィアの顔を見下ろし続けてる。
顔色は白い。あれだけ出血して、しかも一度は絶命したのだから、当然だ。
毛布を捲り、傷を見てみる。そこにはもう受けた傷なんて跡形もなくて、真っ白で綺麗な肌が切り裂かれ血が染み込んだ服の向こうで静かに上下していた。
「……買ってあげた服、破れちゃったね◇」
また買いに行こうか、なんて呟く。返事はない。起こす気なんてないただの独り言だから、なくても気にしてないけど。
(以前、ボクはキミが美味しそうかそうでないかが重要だ、って言ったけどさ)
ソフィアのあの瞳を初めて見たとき。三次試験会場へ向かう飛行船の時のことだ。
(キミは特別になっちゃったんだ)
キミがボドロを庇ったとき、キミが倒れそうになったとき、ボクの頭は真っ白になった。
ソフィアが死ぬなんて考えられなかった。でもキミを抱き留めたとき、キミの傷の深さがわかってしまって、ボクの目からはみっともなく涙が溢れてしまったんだ。
自分でも笑えてしまう。こんなに誰かに執着するなんて、考えられなかったんだけど。
ソフィアの死を間近で感じて、わかってしまったんだ。ボクは絶対にソフィアを殺せないんだって。
ソフィアがもう死んじゃったのもあったけど、生きていたとしてもキミとの戦闘は楽しめるけど殺すなんて無理だと思った。
キミという存在をもう感じることが出来ないなんて無理だ、って。同時に、キミが死ぬ要因となったイルミを殺したくなった。
キミの体からオーラが出たのを感じ取ったときは信じられなかった。
そして直感した。きっとソフィアは、人間というものの枠組みから外れた存在だ、と。
(キミがどんな存在でもいい。ボクの知らない内に消えたりしなければ)
ソフィアが生き返ることのリスクや条件なんてわからない。確かめたくもない。
聞いても彼女はきっと全て話さないだろう。話すことを恐れていたのは知ってるから。
ソフィアのことを知ることができたのは嬉しいけれど、こんな知り方は望んでない。
広がっている髪を一房手にとって、撫でる。彼女自身の血に濡れた髪を見て、出会ったときも死んだ後だったのだろうかと考える。
その時、部屋の扉の向こうにイルミの気配を感じて、ボクはそちらに殺気を向けた。
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クロ(プロフ) - ユウさん» ユウさん、閲覧ありがとうございます!わあああ面白いの言葉を頂けるとは!めっちゃ嬉しいです! オチはまだアンケート中ですので是非楽しみに待っててください! (2019年6月1日 7時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - ヒソカ、イルミ、フェイタンが好きで、ヒソカオチを捜してたどり着きました!面白いです続きを楽しみにしてます。 (2019年6月1日 2時) (レス) id: 0277b1537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2019年5月18日 18時