秘密の存在２【H×H】 (ページ40)

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７９、そして眠ろうページ40

「ヒソカ」

私を見下ろす人物の髪色で、やっと倒れる私の体を誰が受け止めたのかがわかった。
ヒソカは、呆然と私を見下ろしている。らしくない表情だ。いつも貴方は、掴ませない笑みを浮かべているのに。

「なんで、泣い、てるの……」

彼は答えない。呆然と涙を流していた。

人間は不思議だ。死と眠りに厳密な違いなんてないはずなのに、死と眠りを区別している。
私はただ少し眠るだけだ。それは体の構造を整える作業でしかない。この傷が治ればまた起きるのに。

眠い。血が流れすぎたせいで少し寒くもある。
起きたら何をしよう。ああ、キルアに会いに行かないとね。安心させてあげないと。

……

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【no side】

「ソフィア……、ソフィア」

脱力した女の体を力なく揺する男は、どこからどう見ても変態的で掴み所のない奇術師には見えない。
その様がより現実の残酷さを増していて、試験の受験生は誰も動くことができないでいた。イルミすらも。

「おい、ソフィア……ヒソカに返事してやれよ、おい……」

「レオリオ、彼女は、もう」

クラピカの言葉に、ヒソカの横から声をかけていたレオリオが涙を溢れさせる。

審査委員会の者はネテロの指示によりトーナメント表の後片付けや講習の準備に移りだしており、会長の真意を知らぬ者たちはこの光景を無情と見ただろう。

「なんで、死んじゃったの、ねえ」

ヒソカが顔をあげて呆然と呟くイルミを真っ直ぐに見た。ソフィアに問いかけるような呟きだったが、その声に絶望が込められているのを感じ取ると同時に笑みを浮かべた。怒りに満ちた、笑みを。
強い殺気がすぐに室内に充満し、一度彼の殺気を浴びたことのあるクラピカやレオリオですらあまりの強さに全身を強ばらせる。

「ま、その辺にしんさい」

ヒソカの目の前に、カランと下駄の音を立ててネテロが立つ。すぐに殺気の矛先が変わった。
奇術師は動かない。ソフィアを抱えているから、なんとか動かないでいる。彼女を抱えていなかったら今すぐにでも殺戮マシンとして動き出しそうだ。

「衆目の目の前でやりやがって、この阿呆が……おかげで隠匿するにも苦労するわ」

ネテロの呟きに、会場に渦巻いていたヒソカの殺気に加わりハンゾーの殺気、レオリオやクラピカの怒気までもが渦巻いた。ポックルやボドロも怒りに腕を震わせる。

けれどネテロのその発言は、ハンター協会の真の顔というわけではなく。
ソフィアの真実を知るが故の言葉だった。