秘密の存在２【H×H】 (ページ35)

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７４、肩透かしページ35

ゴンが気絶しハンゾーが負け上がりをした後、ヒソカ対クラピカ、ハンゾー対ポックル、ヒソカ対ボドロ戦と続き。

私とポックルの戦いになった……のだが。

「まいった。俺は戦わない」

「何故？」

「実は俺、四次でのアンタと294番の戦い見てたんだよ。すっげー遠くからだし、偶然見える場所を通っただけだからアンタらは気付いてなかったと思う」

ハンゾーに目をやれば、驚いた顔をした後にブンブン顔を横に振っていた。うん、気付いていなかったらしい。私も気付かなかった。

「で、その時のアンタの速さが俺には目で追いきれなかった。辛うじて相手がアンタだとわかったが、あの時は294番が襲われてると思ってすぐに離脱したのさ」

「だから私とは戦わない、と」

「そういうことだ。悪く思わないでくれよな、俺はこれ以上怪我したくない」

拍子抜けだけど、彼が私とハンゾーの手合わせを見ていたことは運が悪かったとしか言いようがない。

(少しだけ楽しみだったのにな)

まあいいか、と見学スペースに戻る。すると、クラピカが何か聞きたそうに顔を寄せてきた。ちなみにレオリオも聞きたそうだったが、彼は試合延期を申し込んでいた。

「294番と手合わせしたというのは本当か？彼より速かったというのは」

レオリオが戻ってくる。しかし、次の試合で今度はキルアが負けを認め、またもボドロの容態を見に行ってしまった。

「一辺に聞かないでもう、クラピカらしくない。手合わせしたのは本当、ハンゾーより速いのも本当」

「強いんだな、ソフィアは」

真剣な表情で、じっと見つめてくる。以前した会話の内容についても考えているのだろう。
即ち、もしも私が旅団を気に入ってしまったらについて。

「クラピカも強いと思うわよ？ヒソカの速さに着いてってたし」

「いや、最後の一瞬だけ動きがどうしても見えなかった。まだ弱いさ」

弱々しく笑みを浮かべるクラピカに対し、私は何も言わない。

何故なら、次の試合が始まろうとしていたから。レオリオの試合延期が再び通って、キルアとギタラクル……イルミの対決になっていた。

「久しぶりだねキル」

イルミが顔中に刺さった針を抜いていく。べこべこと音が鳴って、変形させていた顔が元の形へと戻っていく。
戻る瞬間は初めて見た。思えば試験中のあの人は、いつの間にか顔を変えたり元に戻ったりしていた。

そうして完全に元の姿に戻った時、キルアの表情が怪訝なものから驚き、恐怖のそれへと変化する。