秘密の存在２【H×H】 (ページ30)

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６９、寂しいのはどちらかページ30

キルアの様子がおかしい。まるで私の声が聞こえていないかのように、こっちを見ようとしない。

「ねえ、」

「放っておきなよ◆」

ヒソカの言葉に、私は思わずヒソカを睨み付けた。彼は少し驚いたように眉をあげると、困ったように微笑む。

「彼には彼の悩み事や考えがある。今はきっとそれを整理してるんじゃないかな◇」

「……そう」

確かに、数日前もキルアは悩みを抱えている様子だった。それと向き合っているのなら、容易に踏み込むべきじゃない。

「ごめんなさい、八つ当たりしちゃって」

「大丈夫。可愛いキミが見れて嬉しかったよ◇」

「はいはい。そんなことより、プレートの確認が始まるから降ろしてちょうだいな」

本気なのに……と呟くヒソカの腕から降りて、自分のプレートを見せる。
抱き上げられてる間ガイドの人……カラが物凄いひきつった表情でこっち見てるんだもの、居心地が悪かった。

「合格者はこの七名かな……あら？」

カラが顔をあげる。視線を辿ってみれば、そこにはやけに傷だらけのレオリオやゴン、それからクラピカが現れたところだった。
キルアが表情を明るくさせてゴンとサインでやり取りしている。むぅ、なんだか胸が変な感じ。

「寂しいのかい？◇」

「寂しい……かも、しれないわね。でも、大丈夫よ。ゴンや、ヒソカ達もいるしね」

敢えてヒソカ達と言った。聞き耳立てていたイルミにも聞こえていたはずだ。証拠に、ギタラクルの姿をしたイルミの瞳が此方を見た。
私はそれに笑顔を向ける。すぐに彼は視線をはずしてしまったけど。

「ソフィアは罪作りだねぇ……◆」

「何故？」

ヒソカは、たまに突拍子もないことを言う。

【no side】

飛行船の中、傷を治すために絶の状態でヒソカが歩く。会長との面談に向かう途中だ。背後の角にいる気配に、彼は足を止めた。

「ソフィア、寂しがってたよ◆」

「……っ」

「やあ◇」

角から姿を見せたキルアに、ヒソカは顔を向けずに話しかける。

「キミが何を考えているのかは大体予想がつく◆ あわせる顔がないってトコだろ◇」

「……礼は言わねーからな」

キルアは、ヒソカがフォローを入れた事に気付いていた。

「別にキミのためじゃない。ボクは彼女が悲しそうにするのが見たくなかっただけ◇」

「ああ、わかってる」

ヒソカは止めていた足を進める。そうして姿が見えなくなった頃、小さな呟きが通路に落ちた。

「でも、どうすりゃいいかわかんねーんだよ……」