秘密の存在２【H×H】 (ページ29)

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６８、違和感ページ29

【ソフィア side】

「負けちゃったか◇」

気絶から目を覚ましたヒソカに奪い返した45番のプレートを振って見せれば、彼は満足そうに言った。

「これで私が戦う理由もなくなったから、もう終わりで良いわよね？」

「続けようとしたら、どうするの？◆」

ヒソカを見下ろしながら、ある方向を指差した。

「その時はあっちに逃げるだけよ」

「酷いなぁ◆」

その方向とは、イルミが潜んでいる方向。指先を見てヒソカもそれを察したようで、眉を下げて笑った。
その笑い方がいつものような皮肉さなんてない、可愛い笑い方だったからずっと見ていたかったけど。

「話すのは後」

「……もしかして、あまり時間ない？◇」

擦り傷と打撲だらけのヒソカに手を差し出す。すると一瞬だけ怪訝な表情を見せてから、察しの良い彼らしく確信を秘めた声音で聞いてきた。
私はそれに首肯で答える。手を握ったヒソカを引っ張って立たせれば、彼は私の手を離さずに試験開始の時イルミが渡していた通信機を操作しながら集合場所へと歩き始めた。

「そういえば、キルアと294番の男は先に行ったんだね◆」

「ハンゾーは貴方が起きるちょっと前まで居たわよ。キルアは終わる少し前に行っちゃったらしいけど」

余裕を持って集合場所に行きたいんだって。そう言えば、ヒソカは頭の中を探るように視線を動かしてから、ふぅんと言った。
それから突然、掴んでいた私の手がぐいっと引っ張られて、私は次の瞬間ヒソカに抱き上げられる。

声をあげる間もなく、ヒソカは私を抱えたまま軽々と走る。遠くの方で、イルミが移動を始めたのが木々の向こうに消えていく。

「ちょっと、ヒソカ？」

割りととんでもないスピードが出てる癖に、私を抱く腕はしっかりしていて抜け出そうにも抜け出せない。

「時間、ないんでしょ◇」

「まだ歩いても間に合うわよ！」

「ボクも余裕持っておきたいの◇」

「抱き上げる必要はないでしょう……」

ため息をつけば、何が嬉しいのかご機嫌といった様子で喉を鳴らされる。せめて着く前には降ろしてほしいという訴えも聞いてもらえず、集合場所に到着してしまった。

「もう、ほら降ろして……あ、キルア！」

「……っ」

ちっとも降ろしてもらえず、仕方なしにそのままキルアに声をかける。キルアは肩をびくつかせた後、何も反応せずにただ海を見ていた。

「キルア……？」

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