64、少年は思う ページ25
【キルア side】
そういったきり、ヒソカはソフィアを見下ろして黙りこんだ。
目は柔らかく静かな感情を宿していて、こいつでもこんな目をするんだな、と思う。
ソフィアは不思議だ。
オレも、きっとヒソカも、簡単に他人を信じるような性格ではない。なのに、心を許せてしまうような魅力がソフィアにはあった。
ゴンに感じる眩しさと、似ていて違うもの。どちらもありのままに受け入れるところは同じだ。
(でも、違う)
ゴンとソフィアでは、受け入れる大きさがきっと違う。
どう違うと感じてるのか、はっきりと形にすることはできない。ただ、ゴンが光を見て闇も受け入れるのに対し、ソフィアはきっと全てを受け入れる。
でなければ、ヒソカの側になんていないだろう。
どちらも危うい魅力を持ってることに変わりはない。けど、そんな二人だからこそ。
(友達に、なりたい……)
ありのままのオレを受け入れてくれた。オレの生き方を、意思を肯定してくれた。
友達になりたい。なって、一緒に居たい。
『暗殺者に友達なんていらない』
兄貴の姿が頭の中をチラつく。一瞬乱れた息を、引いた血の気をなんとかして戻そうとする。
『キルアはキルアでしょう?』
不意に、あの時のソフィアの声が蘇った。
木々の隙間を通って射し込む夕日の光に照らされて、優しい笑みを浮かべたあいつはまるで女神か何かのようで。
消えそうな美しさとか、この世のものじゃないようにも思える光景がオレの思考を一瞬真っ白にしたあの時。
綺麗だ、と、思ってしまったんだ。
そんなやつがオレを肯定してくれてるのが、すっげー嬉しかった。これからもずっと一緒にいたいと、思ってしまうくらいに。
明日。ソフィアはヒソカと戦う。ソフィアが負けたら、思いっきり笑ってやろう。そんでもってゴンと一緒に励ます。
見たところ、ヒソカは自分のプレートをつけていないし。きっとあいつも上手くやれた。
目を閉じ、気配を探りながら朝を待つ。その先でソフィアが遠く感じるようになることを、オレは知らない。
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勿忘草 - 普通にハンゾーが可哀想www (2020年6月20日 15時) (レス) id: a494dee2c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2019年5月4日 21時