秘密の存在２【H×H】 (ページ24)

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６３、奇術師は自覚するページ24

「バッ、んなわけねーだろ！」

「静かに。起きるよ◆」

大きく開けていた口を閉ざすが、顔を赤くしたまま此方を睨み続けるキルア。
う～ん、中々わかりやすい反応だ。彼は変化系かな。

にしても、割と警戒心の強そうな彼がボク相手にソフィアを護ろうとするなんて。これはこれでイイ状況だけど。

「この数日で何があったんだい？キミ、そこまで彼女と絡んでなかったよね◆」

「なんもねーって。あーもーいいよ、何もしなさそうだしどいてやるからやめろその顔！」

「キミはわかりやすいなぁ◇」

元居た場所に座って、再び此方を睨む。そそられる視線だけど、今はソフィアが眠ってるから何もしない。
ボクは眠る彼女に手を伸ばし、ひょいと持ち上げるとそこに座って横抱きにしてボクの膝に彼女を乗せた。心地よい重さが気の昂りを鎮めていく。

(ボクも人のことは言えないかな……◇)

少し離れただけで気にかけるくらい、ソフィアがボクの中にいる。出会って数週間しか経ってないのにだ。
彼女がボクの腕の中で無防備に眠っているのがとても愛しいし、彼女が見せるどんな表情もボクの中に色濃く残る。

ああ、ソフィアはボクにとって特別だ。これまでわからなくなっていた感情の全てに説明がつく。
壊したいけど、壊したくない。楽しみたいけど、手放したくない。相反する感情の全ては、殺人と戦闘を楽しむボクと彼女に恋をしたボクのものだ。

どうしようか。眠る彼女を見下ろしながら、思考する。
こういったことは今までの人生にはなかったから、どうすればいいかわからない。大切にし過ぎれば壊したくなる。手放せば誰かに奪われる。
イルミやクロロが狙っている以上、両者は確実に動くだろう。わかっているからこそ、側においておきたいのに。

彼女は自由でいる方が美しい、そう思ってしまう自分もいて。

「ヒソカ。お前、そいつとどういう関係？」

キルアの声に、顔をゆるりと上げる。
どういう関係か……ね。

「恋仲……って言ったら？◆」

「なっ、はあ！？」

「冗談だよ、静かにしてくれ◇」

「お前な……」

またもやじっとり睨まれる。ひとしきり笑ってから、ボクは彼に真実を伝えた。

「関係なんてない。強いて言うなら友人……なのかな◇」

「ない……？」

「そ。ボクは興味があって彼女を拾ったし、彼女は興味があってボクについてきただけ◆ それより前の彼女のことなんて知らないし、わからない◆」