秘密の存在２【H×H】 (ページ38)

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７７、逃げ道を塞ぐページ38

「殺し屋に友達なんていらない、邪魔なだけだから。彼はどこにいるの？」

いつ取り出したのか。手には針を構え、イルミは扉に向かって歩き出す。

目の前がブレる。私の瞳が、私の理性が揺れているから。オーラが揺らいだのを感じ取り、ヒソカが側までやってきた。

「感情に流されて揺らがせちゃダメだよ◆」

「わかってる……ごめんなさい」

ヒソカは獣性のことは知らない。だから、ただ動揺してオーラが安定していないんだと思っているようだ。間違ってはいないけれど。

「どこ？」

「隣のひ、控え室に、いいいいっ」

そうこうしている間に苦しげな悲鳴が響き渡り、見れば審査員の人に針が打ち込まれていた。
イルミの前の扉にハンゾー、クラピカ、レオリオが立ちはだかり、イルミはこの状況を打破しようと考えを巡らせている。
その隙に。

「今抜くわ、じっとしてて」

「ありがほう……ごあいまふ……」

激痛が走っているらしく、白目を剥きかけている。抜いてやれば顔の変形は戻ったものの、まだ激痛は続いてるようで呻きながら他の審査員に運ばれていった。控えめに注意され、見学スペースに戻る。

「合格したらゴンを殺そう。それなら仮にここの全員を殺してもオレの合格は取り消されないよね」

「ルール上は、問題ない」

「聞いたかい？キル……オレと戦って勝たないとゴンを助けられない」

三人に塞がれた扉に背を向け、再びキルアの元へとイルミが足を向けて歩く。

「友達のためにオレと戦えるかい？出来ないね、何故ならお前は友達なんかより、今この場でオレを倒せるか倒せないかの方が大事だから」

すぐにキルアの目の前まで辿り着き、イルミが手を伸ばした。暗示をかけるかのように、その手はキルアの額へと伸ばされる。

「そして、もうお前の中で答えは出ている。オレの力では兄貴を倒せないと。勝ち目のない敵とは戦うな、オレが口を酸っぱくして教えたよね」

伸ばされる手から逃げるように、キルアの足が動く。すぐに鋭い制止の声がかかり、まるで蛇に睨まれた蛙のような状態になる。

「動くな！少しでも動いたら、戦闘開始の合図とみなす。同じく、お前とオレの体が触れた瞬間から戦闘開始とする。止める方法は一つだけ。わかるね？」

キルアの荒い呼吸音だけが大きく聞こえた。恐怖と絶望と否定がない交ぜになって、キルアの心を押し潰しているかのようだ。

「だが忘れるな。お前とオレが戦わなきゃ、大事なゴンが死ぬことになるよ？」