39、奇術師は思う ページ42
【ヒソカ side】
イルミが眠りについたのを感じ取って、ボクは閉ざしていた目を開く。
彼は職業柄自身の状態を隠すすべを身に付けているけど、そんなものボクの直感の前ではあまり意味を成さない。
ソフィアに視線を移す。彼女はいつものあどけない寝顔を晒していた。
視線を自らの足元に落とす。
──面白くない、と、思っているボクがいる。
普段のボクであればこの状況は間違いなく楽しめる。ソフィアを巡って争う二人を引っ掻き回して彼女を奪うことや、どちらかが彼女を手に入れた後にソフィアと戦って殺すことで片方と確実に殺しあえることだって出来る。
トランプを更に高く積み上げる布石にだってできる。
なのに、面白くないと思う自分がいる。
先にソフィアを見つけたのはボクなのにと、拗ねて不機嫌になる自分がいる。
わかっている。ボクは見つけただけで、まだボクのものにしたわけじゃない。
早い者勝ちというのは、手に入れてから言えることだ。
だけど見つけたのはボクで、拾ったのもボクで、目をかけ世話をしたのもボクなんだと、自慢げに、それでいて外敵に威嚇するように言い張る自分がいる。
こんな思いは、今まで抱いたことがなかった。とはいえ、どういう感情であるのかは大体把握している。
ようは、独占欲というやつだ。
ボクより先にボクの知らないソフィアを見られるのが嫌だと思った。
ボクの知らないソフィアを知ってるやつがいるのも気にくわなかった。
だってボクは、ボクですらまだ彼女を知らない。
彼女は過去を語らない。ボクのように過去に興味がないのもあるんだろうけど、それ以上に何かを隠してる。
彼女は自らに関してを語らない。理由はわからないけど、何かを恐れてる。
彼女はとても不安定だ。自分を大事にするということが抜けている。じゃなきゃ巣の状態を理解した上で、風が吹く予兆もないのに飛び降りたりはしない。
その不安定さはどうしたら崩せるのだろう。どうやったら彼女を知れるだろう。
彼女を知っている素振りを見せたネテロの顔を思い出す。
あの表情は驚愕と警戒が滲んでいた。それだけで、ネテロがソフィアを知っていることは明白。
ああ、気に食わない。自分が乱されることも、何もかも。
それでもその原因がソフィアなら仕方ないと思ってしまう自分がいて、やっとボクは笑みを浮かべた。
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澪 - オチ希望出来ればヒソカでお願いしたいです。 (2021年9月9日 7時) (レス) id: 790f68b113 (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - ヒソカの花嫁さん» ヒソカの花嫁様、コメントありがとうございます!ヒソカ希望いただきましたー!何もなければご希望に答えてヒソカオチか、オチごとに小説を分けるか致しますので、評価ボタンを押して楽しみにお待ちください!← (2019年5月6日 21時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒソカの花嫁(プロフ) - オチ希望はヒソカでお願いしたいです! (2019年5月6日 21時) (レス) id: 6af5523d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2019年4月8日 3時