３２、惜しい！ ページ35
異様な光景だ。それは、この場にいる誰もがそう思っただろう。
調理中の者、審査待ちの者、試験官や木の上で見守るサトツまでもが目を見開いた。
てくてく歩く肉食の豚。その背に乗る少女。
あり得ない現象が起き目を丸くしている者たちの中で、当の本人はというと。
「うーん、料理、料理、料理ねぇ……」
空いている調理器具の前で豚の背から降りるなり、悩み始める。豚への警戒心ゼロである。
それはそうだ。曲がりなりにも支配者の部類に入る獣、他の生物と意思疏通し従えることが出来る獣だったのだから。
ただし、そんなこと此処にいる人間は知ったこっちゃない。つまりこの光景は周囲の人間にとって、恐怖を覚えるものなのだ。
「うーん……」
周囲を見渡す。すると慌てて目を逸らされるが、そんなことより私は調理済みの豚がどれだけいるかが知りたい。
うーん、結構いる。試験官は、メンチはあまり食べていないけれどブハラはモリモリ食べている。とりあえず用意されている食材から使うものを選ぼう。豚をどうするかは、そのあと決める。
後程誰かが食べて片付けるのかもしれないけれど、どうせなら命はあまり無駄にしない方が良いし。
「お前も死にたくないでしょう？」
「プギ」
＊＊＊
「は〜食った食った。もうお腹いっぱ〜〜い」
「はぁい私もお腹いっぱーい。てなわけで、惜しいのはいるけど合格者なし。終了ーーー！」
メンチの言葉に、会場がまたもざわめく。今度はかなり不穏な空気だ。
「ちなみに惜しいのはあそこにいる45番。他のやつらは同レベルよ！」
「え」
提出どころか料理を開始してすらいないのに惜しいと言われてしまった。しかも思いっきり場所を示されて大半の受験者の敵意が此方に向く。
ヒソカだけはメンチとブハラに殺気を向けているようだけど……何してるのかしら、あの人は。
ガシャンと調理器具が壊れる音がした。
「納得いかねぇなぁ、こんなの俺は絶対に認めねぇ！」
「不合格の決定は変わらないわよ？」
「ふざけるな！ 料理してすらいない45番が惜しいってなんだよ！」
それは私も気になるのよね。あとちょっと視線が痛い。
「45番はアンタらと違ってこっちが用意した食材の味を確認してたし、アタシらの腹具合を気にして豚を生かしたまま連れてきた。無駄な殺生にならないよう気を遣ってたってことよ！
それに比べてアンタらは何？ どいつもこいつも似たようなのばっか。料理を舐めてるとしか思えない！」
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澪 - オチ希望出来ればヒソカでお願いしたいです。 (2021年9月9日 7時) (
レス) id: 790f68b113 (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - ヒソカの花嫁さん» ヒソカの花嫁様、コメントありがとうございます！ヒソカ希望いただきましたー！何もなければご希望に答えてヒソカオチか、オチごとに小説を分けるか致しますので、評価ボタンを押して楽しみにお待ちください！← (2019年5月6日 21時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒソカの花嫁(プロフ) - オチ希望はヒソカでお願いしたいです！ (2019年5月6日 21時) (レス) id: 6af5523d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年4月8日 3時
