３、気に入った ページ4
ゆるりと瞼を持ち上げた女は、ヒソカの腕を掴むとそのまま真横に薙ぎ払った。
「、◆」
「「！」」
一瞬後に、クロロとイルミにも捉えられぬ速度でヒソカが真横へ吹っ飛ぶ。
見えなかった。二人にも、掴まれたヒソカにも、腕を掴んで飛ばすまでの動作が見えなかった。
気が付けば女の腕は横に払った状態で止まっていて、轟音が響いていた。
「見えた？」
「いや……」
女が起き上がる。吹っ飛ばしたヒソカに目を向けず、女は紅い瞳を二人に向ける。
思わず軽く身構える二人に、女は口を開いた。
「私、なんで此処にいるの？」
「キミが飛ばした奴がキミを拾ったんだよ」
イルミの答えに、女が何の感慨もなくふうんと言った。
そのまま立ち上がろうと腕を動かしたところで、違和感に体を止めた。
飛ばされる瞬間に腕につけた《伸縮自在の愛》が女を引き寄せようと収縮しているのだが、それを知るのはヒソカと女だけだ。
遅れて、イルミとクロロが異変に気付き凝で見る。すると、張り詰めたガムが見えた。
そこにかかっている力は凄まじい。なのに、女は腕を見下ろして首を傾げただけだった。
そして───あろうことか、軽く腕を振って引き寄せた。
宙を飛び戻ってくるヒソカを目の前の床に叩きつけようとする。が、それは直前でガムを消されて不発になった。
「ふう、着地♪ 危ない危ない◆」
「ねぇ、今のどうやったの？」
「今のって、ガムかい？」
「そう。あんなの初めて見たの。どうやって出したの？ どこから？」
ヒソカは高ぶりかけていた精神を抑える。
「念を知らない？◆」
「ねん？」
「知らない、か◇」
ゾクゾクと背筋を快楽が走る。
念を知らないのは減点、だが念無しでもあの動きが出来るのは加点……素質があると見て更に加点。教えれば確実に強くなる青い果実。
「「「気に入った」」◆」
男の声三人が見事にハモり、女がパチクリと瞬きをする。
「……君たちまでそう言うとは思わなかったよ◆」
「面白そうだからな。何より、お前を吹っ飛ばした力量は捨てがたい」
「クロロに同じく。オレでも見えない動きとか親父以外じゃ初めて見た」
「そうだね♪ ねぇ、ボクと来なよ◆ そうしたら今の、キミにも教えてあげられる◇」
ヒソカが言うと、女の目が輝き始めた。新しい玩具を見つけた子供のような目だ。
「本当に教えてくれる？」
「勿論◆」
花が綻ぶような笑顔が向けられる。普段感じる興奮とは違う何かが、胸を高鳴らせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 155人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
澪 - オチ希望出来ればヒソカでお願いしたいです。 (2021年9月9日 7時) (
レス) id: 790f68b113 (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - ヒソカの花嫁さん» ヒソカの花嫁様、コメントありがとうございます！ヒソカ希望いただきましたー！何もなければご希望に答えてヒソカオチか、オチごとに小説を分けるか致しますので、評価ボタンを押して楽しみにお待ちください！← (2019年5月6日 21時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒソカの花嫁(プロフ) - オチ希望はヒソカでお願いしたいです！ (2019年5月6日 21時) (レス) id: 6af5523d08 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クロ | 作成日時：2019年4月8日 3時
