17、彼と仲間 ページ18
【クロロ side】
ソフィアがオーラでヒソカを興奮させているその頃、クロロは彼とその仲間の仮拠点に到着した。
既に月が上り始めていて、仮拠点たる廃墟は不気味な雰囲気が漂っている。一般の人間からすれば賊が住み着いていそうなそこは、正しく現在賊と呼べる者達が集まっていた。
「団長、おかえり」
「シャルか」
金髪の優しげな青年、シャルが帰りを待っていたと言わんばかりに大量の紙を持って駆け寄ってきた。
事実、俺の帰りを待っていた。何故なら、次の獲物がいつまでたっても決められないから。
「この辺りの情報は殆ど見たよ。厳選したんだけど、やっぱ大きい美術館が近いから多くって」
「助かる。いつもすまないな」
「それこないだも言われたー」
適当な瓦礫に腰かけて、パラパラと捲る。画像、所持者、有名度、今後の移動予定等、簡潔に纏められていてとても見やすい。
宝石、宝石、絵画、宝飾品、彫刻、絵画…
「あれ? 団長帰ってきてたんだ」
「ついさっきな」
彫刻、彫刻、宝石、絵画、絵画…
「こりゃダメだぜ、すっかり集中してら」
「あの状態でも周りの音聞けてるのが不思議なくらいだよねー」
「返事も最低限だものね」
最後の一枚に差し掛かって、目を奪われた俺はしばし思考に浸る。
そのページは宝石、色は紅と紫で、対のものとして展示されているようだ。その色彩に、昨夜の女を思い出す。
獣のように縦に伸びた瞳孔の紅い瞳。長く美しい紫の髪。そして、投擲したナイフを空中で停止させる未知の力。
「……欲しいな」
ポツリと漏れた呟きに、周囲でわいわいと騒いでいた仲間が静かになる。
「おっ? 団長、これにするんだね? いいねぇ、」
「いや、これじゃない」
「へ?」
シャルの輝いてた瞳が一転、なんだと言いたげに輝きを失う。
「女だ」
「「「「「はぁ?」」」」」
「だ、団長、リストに女は載ってないよ?」
「そうだな。とりあえずこれとこれから盗る。明後日だ」
「いやいやちょっちょっと待ちな団長、女ってなんだ女って。どういうことだよ」
困惑しきったシャルに盗む獲物の情報を返して日時を告げる。
唖然としている様子に内心で首を傾げると、横からノブナガの声が割り込んだ。
「ああ、そうだ。シャル、ソフィアという女を調べろ。写真はここにある」
「団長!?」
「面白い女なんだ」
とても面白い。あれは是非とも欲しい。
力の抜けた仲間のため息に、俺はまたも内心で首を傾げた。
155人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
澪 - オチ希望出来ればヒソカでお願いしたいです。 (2021年9月9日 7時) (レス) id: 790f68b113 (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - ヒソカの花嫁さん» ヒソカの花嫁様、コメントありがとうございます!ヒソカ希望いただきましたー!何もなければご希望に答えてヒソカオチか、オチごとに小説を分けるか致しますので、評価ボタンを押して楽しみにお待ちください!← (2019年5月6日 21時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒソカの花嫁(プロフ) - オチ希望はヒソカでお願いしたいです! (2019年5月6日 21時) (レス) id: 6af5523d08 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クロ | 作成日時:2019年4月8日 3時