１０、欲しい ページ11
【No side】
明るい部屋を横切り、暗く静かな寝室の扉を開く。
先日までクロロが使用していた寝台は、ソフィアが占領して眠っていた。
別にそれはどうということでもない。彼は様々な場所でも眠れるのだから。
暫く扉から寝台を眺めるが、起きている気配はない。
”絶”をして歩み寄り、しばし寝顔を見つめる。
あどけない。静かに寝息を立てていて、警戒など微塵も感じられない。
懐を探り、さして愛用していないナイフを手にすると念を込める。一、二歩距離をとって、ダーツのように投げてみる───すると。
「……ふむ」
ナイフはトランプの時と同じように、空中で停止するとカランと音をたてて床に落ちた。
凝で見ていたが、ソフィアのオーラは相変わらず変化がない。そもそも念を習得している者のオーラではないから、当然と言える。
なら、今の現象はなんだ。
先程とった距離を再び詰めて見つめる。
眠っている少女の髪がさらりと流れて、無防備な首もとが露になった。
投擲が駄目ならば、とクロロは腕を持ち上げる。
無論、直接でもヒソカのように防がれる可能性が高いが、それでも確認せずにはいられない。
ゆるりと手を伸ばし、首に近付ける。
「ッ、」
伸ばしかけた手を止める。妨害が入ったわけじゃない。ただ、
”少女が此方を見た”だけだ。
普通に見つめてきただけなら、気配を感じ取って目覚めたような雰囲気だったなら、彼もまだ余裕があった。
けれど、その紅い瞳はクロロを凝視していた。感情を何も宿さず、鋭く突き刺すような視線を彼に向けるだけだった。
その紅い瞳には、まるで肉食の獣のような、縦に伸びた瞳孔があった。
彼も、彼女も、動かない。
その状態になってどのくらい経っただろうか。ソフィアは鋭い視線を向けたまま、声をかけてこない。変化もない。
そうしている内に彼は気が付いた。少女の瞳に一切の感情がないことに。
伸ばした手を引いてみれば、少女は目を開いたときよりゆっくりと瞼を下ろした。まるでずっと眠っていたかのように、寝息には変化がない。
「何してるの◇」
「……ヒソカか」
扉から射し込む光を影が遮り、奇術師が帰還した。クロロは寝台を離れる。
「少し試したいことがあったからな」
「そう◆駄目だよ、例え貴方でもあの子は譲れない◆」
「お前が執着を見せるのは珍しいな。だが、生憎……俺も欲しくなってきた」
二人の男の視線が交わる。
先に逸らしたのは、どちらだろう。
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澪 - オチ希望出来ればヒソカでお願いしたいです。 (2021年9月9日 7時) (
レス) id: 790f68b113 (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - ヒソカの花嫁さん» ヒソカの花嫁様、コメントありがとうございます！ヒソカ希望いただきましたー！何もなければご希望に答えてヒソカオチか、オチごとに小説を分けるか致しますので、評価ボタンを押して楽しみにお待ちください！← (2019年5月6日 21時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒソカの花嫁(プロフ) - オチ希望はヒソカでお願いしたいです！ (2019年5月6日 21時) (レス) id: 6af5523d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年4月8日 3時
