1、血濡れた美 ページ2
「……血の香りがする」
「ホントだ◆」
ボクらは仕事で町に来ていた。なんてことはない、クロロからのちょっとしたお願いだ。
その仕事すら終わった今、此処にいる意味も血の香りに惹かれる理由もない。のだけど。
「いーい予感がするねぇ……?」
ボクの勘が反応していた。この血の香りの根源に、素晴らしい者がいると。
対するイルミは、早く帰りたいと目が言っている。仕事を終わらせたなら、早く帰って寝たいと。
「まァ……見ておくのも、悪くないだろう?◆」
「はぁ……いいよ」
許可が出るのと同時に、ボクは走る。少し遅れて、イルミが来る。
走る意味ないが、理由はある。血の香りは新しく、行く先から人が離れている確率は低い。低いが、ゼロではない。
走って、走って、辿り着いた先に立っている者はいなかった。
「あれェ……期待外れかな?◆」
血に沈んだ男、男、男……それから、女。
女は奇襲されて抵抗したのだろう、中央で血に沈んでいる。長い長い髪がドス黒い血に広がって、惨い場面であるにも関わらずどこか絵画のような神秘的な雰囲気を醸し出していた。
「立ち去った……?いや、まだいるねぇ……」
「ヒソカ。女、生きてるよ」
「んん?」
よくよく見れば、胸元が緩やかに上下しているのが見える。
つまり、この場の勝者は女だ。十五人ほどいる男たちを全て殺したのも、この女だ。
興味が湧いた。少し遊んでみたい気もする。
「怪我、してる?」
「ない。無傷。驚いた、ただ寝てるだけだよ、こいつ」
イルミが最短で彼女の状態を調べる。彼の見立ては素早く正確だ。彼が言うならば、そうなのだろう。
「連れて帰ろうか◆」
「え。……頭、大丈夫?」
「正常だよぉ♪ 彼女、面白そうじゃない?」
「ちっとも。」
「じゃあ、ボクが連れていくからね」
「ええ……面倒が増えるよ」
迷わず血だまりに足を踏み入れ、彼女に近付く。
抱き上げれば血を吸った黒いドレスが重く浮かぶ。彼女はすやすやと眠っていて、起きる気配がない。
警戒も何もなく体を脱力させている様子に、ほんの少しだけ闘争への興奮が冷めた。
「さて……行こうか、クロロの所に◆」
「……わかった」
来たときと同じように、ボクとイルミは走る。そうして二人が去った路地には、夥しい数の死体と血の痕しか残らなかった。
血だまりに入ったはずのヒソカの足跡も、倒れていた女がいた痕跡も何も残らなかった。
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澪 - オチ希望出来ればヒソカでお願いしたいです。 (2021年9月9日 7時) (レス) id: 790f68b113 (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - ヒソカの花嫁さん» ヒソカの花嫁様、コメントありがとうございます!ヒソカ希望いただきましたー!何もなければご希望に答えてヒソカオチか、オチごとに小説を分けるか致しますので、評価ボタンを押して楽しみにお待ちください!← (2019年5月6日 21時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒソカの花嫁(プロフ) - オチ希望はヒソカでお願いしたいです! (2019年5月6日 21時) (レス) id: 6af5523d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2019年4月8日 3時