３４、跳躍！ ページ37
次の試験はゆで卵。崖ど真ん中に張られたクモワシの巣から卵をとってくるというもの。
先に行ったゴンたちに釣られて飛んだ受験者を上から眺める。
「風が吹くか、巣が落ちるか、どっちが早いかしらね」
「あの調子ならギリギリってとこじゃの。お前さん、行かなくて良いのか？」
「私が行ったら巣が落ちちゃうわよ。ただでさえ今、ギリギリでしょう？」
「落ちてもお前さんなら戻ってこれるじゃろうがの」
「戻ってこれなかったら貴方はひと安心よね」
メンチが私たちの状況を把握していない目の前でネテロと言葉の応酬を繰り広げる。すると、ふわりと風が吹き上がってきた。
私はスカートを抑えて、上がってきたゴンを迎える。
「ソフィア！ 卵、取ってこれた！」
「だが、糸は切れる寸前だ。危険極まりない。行くのはやめた方がいい」
「クラピカ、それは私に試験を棄権しろということ？」
「そうだ」
ゴンは拳を握り、レオリオも、キルアも止めない。それもそうだ、あのクモワシの巣は今本当に切れかかっている。
一人の体重なら支えられるかもしれないとはいえ、危険なことは確か。
でも。
「っソフィア！」
「ソフィア！？ おい！」
ぴょいっと踏み出し、崖に身を投げ出す。視界の端に目を見開くヒソカと此方を見るギタラクルがいた。多分、彼らも巣の状況がわかってるのだろう。
目指すは巣の真ん中ではなく、端。今にも切れそうなそこに負担をかけて、わざと切る。
糸は容易く切れて、ふわりと宙に浮いた。
「ソフィアーーーーーーーー！！！！！」
上から聞こえる悲鳴を無視し、切れて垂れ下がる糸を膝裏で挟んで捕まったまま卵を取る。
卵を片手で抱え直し、もう片方の手で糸に掴まる。さて。
「あら」
上を見ると、アミダくじのように張られた糸のそれぞれの端も限界なようだ。風もまだ、来る気配がない。
ならば、限界が来る前に……”獣性”で身体能力の制限を外して、跳ぶ！
体全体が軽く感じる。枷を外してすぐだからか気分が高揚する。
膝裏で挟んでいた糸を離し、片手のみでぶら下がる。そして片手で糸を引っ張って跳躍した。同時に負荷をかけすぎた糸が落ちていく。
ただ、今の反動だけじゃ崖の上へジャンプできる程の力は出ない。だから上に張られた糸目掛けて手を伸ばした。
「よい、しょ」
片手で卵を抱き、片手で糸にぶら下がって、今度こそ風を待つ。
少ししてやってきた風で、私は今度こそ崖の上へと舞い戻ったのだった。
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澪 - オチ希望出来ればヒソカでお願いしたいです。 (2021年9月9日 7時) (
レス) id: 790f68b113 (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - ヒソカの花嫁さん» ヒソカの花嫁様、コメントありがとうございます！ヒソカ希望いただきましたー！何もなければご希望に答えてヒソカオチか、オチごとに小説を分けるか致しますので、評価ボタンを押して楽しみにお待ちください！← (2019年5月6日 21時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒソカの花嫁(プロフ) - オチ希望はヒソカでお願いしたいです！ (2019年5月6日 21時) (レス) id: 6af5523d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年4月8日 3時
