43話 ページ43
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12時。
ヒナが待ってると言われた中庭にやってきた。
視界にヒナの姿は見えない。
代わりにというわけではないが、仁王君が木の下に寝転がっていた。
「ね、仁王君、ヒナ見なかった?」
仁王君はすっと立ち上がってこっちに来た。
「悪いな、A。さっきの話は嘘じゃ。桜木は来ない」
「えーっ?」
「すまんな…」
その瞳には本当に申し訳なさそうな色が見えて、なんだかもう責める気はしなかった。
「なんでまた嘘なんか…」
「こうでもせんとふたりで話せんじゃろ。お前さんのことじゃ、噂を知って慌ててるじゃろうしな」
え……。
さっき唯ちゃんから聞いた仁王君と私の噂を思い出して、身体の熱が耳まで上がってくるのを感じる。
自分がその噂を知って慌ててることまでバレてるのが、なんだかものすごく恥ずかしい…。
ふと強い視線を感じて、目線を仁王くんに戻すと、仁王君は真剣な眼差しで私を見つめていた。
ドキン……
「A、好いとうよ」
「……え?」
自分の心臓の音がコトコトと耳の奥に響く。
仁王君は静かに大切そうに言葉をつなげた。
「からかってるわけじゃない。
A、お前さん、幸村を好きだと言ってから、泣いてばかりじゃないか?
俺ならお前を泣かせたりせん。
幸せにしちゃる」
「でも私の心の中には…」
「お前さんが幸村を好きなのは知っとる。
その気持ちがすぐにはなくならんこともわかる。
その気持ち、全部持ったままでいい。
全部まるごと受けとめちゃるから」
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朔 - 上手い!!上手すぎます!!!どっちも好きすぎるのですが私の答えは決まってしまいました!!! (2021年6月15日 1時) (レス) id: 2e63a126ca (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 亜弥*さん» ありがとうございます!!(*^_^*) (2015年8月23日 21時) (レス) id: 42a026aa1a (このIDを非表示/違反報告)
亜弥* - どっちにしようかまよう! あと、これからも頑張って下さい。読むのが楽しみです (2015年8月23日 1時) (レス) id: de645498d4 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 菊姫さん» 菊姫さん、ありがとうございます!泣いてくれたなんて恐縮です>_< 励みになります! (2015年2月3日 8時) (レス) id: 1b761003cc (このIDを非表示/違反報告)
菊姫 - 前のお話を読んで泣いちゃいました!感動的ですね…これから3人の関係がどうなるのか気になります! 更新頑張って下さいっっ!! (2015年1月31日 22時) (レス) id: 22b58266a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩 | 作成日時:2014年10月20日 20時