30話 ページ30
ー 幸村side ー
そろそろ勉強を終わりにしようかな、そう思って時計を見ると、針は21時を少し回ったところだった。
手元の参考書をパタリと閉じると、スマホが鳴った。
画面には見覚えのない番号が表示されていた。
「もしもし?」
「もしもし、幸村君?Aの母です。こんな時間にごめんなさいね。今日Aと一緒だったかしら?」
「いえ、今日はAさんとは会っていませんが…。何かあったんですか?」
「そう…。実はAがまだ帰って来ないのよ…」
え……?
Aはこんな時間まで無断で外出するような子じゃない。
強烈な不安が胸を駆けぬけた。
「探してきます! おばさん、何かわかったらいつでも連絡ください!」
そう言って家を飛び出した。
最近物騒なニュースが多い。
事件に巻き込まれて無いといいんだけど…。
Aの帰り道に何か手がかりがないかと、とりあえず学校のほうへ向かって走った。
途中、再びスマホが鳴った。
幸村「もしもし?」
「幸村君?急にごめんね。私、Aの友達で桜木ヒナっていいます。
今Aのお母さんから電話があって、幸村君がAを探しに行ったって聞いて電話したの。
実は今日、A、文化祭の準備で遅くまで残ってたから、もしかしたら学校かも…」
遅くまで残ってたとしても、まさかこんな時間まで一人で残ったりしないよね…。
でも…閉じ込められたって可能性も考えられなくはない。
「ありがとう。ちょうど学校に向かってるところだったから行ってみるよ」
「ありがとう。私もすぐに追いかける!」
「いや、桜木さんは家にいてくれるかな。夜遅いし危ないからね。見つけたらすぐに連絡するから」
電話を切ると脇目も振らず全速力で学校へ向かった。
Aの屈託のない笑顔と、切なさをこらえたような作り笑いが交互に浮かぶ。
もう大切な人を失うのは懲り懲りだ…。
Aまで失ってしまうかもしれないと考えると、胸が裂けてしまうほど苦しい。
学校にいてくれ…。
心からそう祈った。
道順なんか記憶にないくらい無我夢中で走り、気づけば学校についていた。
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朔 - 上手い!!上手すぎます!!!どっちも好きすぎるのですが私の答えは決まってしまいました!!! (2021年6月15日 1時) (レス) id: 2e63a126ca (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 亜弥*さん» ありがとうございます!!(*^_^*) (2015年8月23日 21時) (レス) id: 42a026aa1a (このIDを非表示/違反報告)
亜弥* - どっちにしようかまよう! あと、これからも頑張って下さい。読むのが楽しみです (2015年8月23日 1時) (レス) id: de645498d4 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 菊姫さん» 菊姫さん、ありがとうございます!泣いてくれたなんて恐縮です>_< 励みになります! (2015年2月3日 8時) (レス) id: 1b761003cc (このIDを非表示/違反報告)
菊姫 - 前のお話を読んで泣いちゃいました!感動的ですね…これから3人の関係がどうなるのか気になります! 更新頑張って下さいっっ!! (2015年1月31日 22時) (レス) id: 22b58266a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩 | 作成日時:2014年10月20日 20時