29話 ページ29
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ふぅ。終わった!
完璧元通りとまではいかないけど、唯ちゃんのフレームはきれいに繋ぎ合わさった。
ほっと一息ついてふと外を見ると、空はもう真っ暗で、校内はひっそりと静まり返っている。
その時やっと暗い学校に一人という状況に気づき、急に恐怖心がこみ上げてきた。
早く帰らなきゃ…。
とりあえず借りた工具だけは戻しておこうと、早足で美術室に向かった。
夜の学校ってなんでこんなに不気味なんだろう…。
急いで美術室に入り、工具を戻して立ち上がると、ガチャリとドアから音がした。
ま…まさか…。
急いでドアを開けようとしたがビクともしない。
鍵…かけられちゃったんだ…。
恐ろしくなって、バンバンとドアを叩きながら大声を出す。
「誰かーっ!開けてーっ!!!」
その叫びは誰にも届かず宙に取り残された。
そして再び恐ろしいほどの沈黙が訪れる。
私はドアを背に力なく座り込んだ。
こ…怖い…。お願い…誰か助けて…。
学校を題材にしたいくつもの怪談が頭をよぎり、身体が強張る。
私は頭をブンブン振って、身体を小さく小さく丸めて、身体を温めて、できるだけ楽しいことを考えようと努力した。
幸村君の繊細な笑顔が浮かぶ。
会いたい…。
涙がじんわりと溢れてくる。
私は涙を拭きながら、ただただ時間が過ぎていくのをじっと待った。
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朔 - 上手い!!上手すぎます!!!どっちも好きすぎるのですが私の答えは決まってしまいました!!! (2021年6月15日 1時) (レス) id: 2e63a126ca (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 亜弥*さん» ありがとうございます!!(*^_^*) (2015年8月23日 21時) (レス) id: 42a026aa1a (このIDを非表示/違反報告)
亜弥* - どっちにしようかまよう! あと、これからも頑張って下さい。読むのが楽しみです (2015年8月23日 1時) (レス) id: de645498d4 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 菊姫さん» 菊姫さん、ありがとうございます!泣いてくれたなんて恐縮です>_< 励みになります! (2015年2月3日 8時) (レス) id: 1b761003cc (このIDを非表示/違反報告)
菊姫 - 前のお話を読んで泣いちゃいました!感動的ですね…これから3人の関係がどうなるのか気になります! 更新頑張って下さいっっ!! (2015年1月31日 22時) (レス) id: 22b58266a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩 | 作成日時:2014年10月20日 20時