22話 ページ22
ー放課後ー
今日は掃除当番で私はゴミ箱を抱えて中庭を歩いていた。
見上げると、真っ青な空には飛行機雲が流れていて、木々の間から指す光がキラキラ輝いている。
こんな風に景色がキレイに見えるのもこの前の約束のおかげだな。
約束の日が来るまで、きっとこのハッピーな気持ちは続く。
嬉しいな…。
私は約束を思い出して嬉しくなって、少し浮かれた気分でゆっくりと歩いていた。
ふと目をやると木の下で気持ち良さそうに横になってる仁王君の姿が見える。
「やっほー」
「よぉ。なんじゃ、ずいぶん機嫌がいいのう」
「ふふ。ナイショ。今日も天気が良くて気持ちイイねー!」
仁王君ははしゃぐ子供を見るように『なんだかよくわからんが良かったのう』と言って微笑んだ。
こういう時の仁王君の笑顔はすごく優しい。
私はへへっと笑って、再び重いゴミ箱を抱えて歩き出した。
仁王君は立ち上がって、ひょいっと私が抱えてたゴミ箱を持ち上げた。
「へ?!」
「女の子にこんな重いもんを持たせちゃいかんぜよ」
「あ、ありがとう!」
優しかったり、からかったり、ホントにこの人は掴めない人だなぁ…。
私は仁王君の後ろをついて歩いた。
「今日は部活ないの?」
「いや、あと10分くらいで始まるかの」
「そっか」
ちょっと練習覗いて行こうかな〜♪
そんなことを話してるとゴミ捨て場に到着した。
「手伝ってくれてありがとう!あとは大丈夫ー!」
私はにっこり笑って中のゴミを捨てようと、重いゴミ箱を勢いよく持ち上げた。
途端にバランスを崩して後ろに倒れこんだ。
「うわぁっっ!」
……
…あれ?…痛くない…??
後ろを振り返ると仁王君が私の下敷きになっている。
「わーっ!!ごめんなさいっごめんなさいっ!」
私はあわてて立ち上がった。
「まったくお前さんは…」
仁王君は呆れたようにそう言って身体を起こすと、目の前に広がる光景を見て唖然とした。
ゴミが思いっきり散らばっている。
「あちゃー……」
「お前さんはもう少し落ち着きんしゃい」
「ホントスミマセン…」
肩を落とす私の頭を、仁王君はぽんぽんと叩きながらふっと息を吐いて微笑んだ。
「まぁ、そんなに気になさんな」
そうしてやっぱり結局最後の片付けまで手伝ってくれた。
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朔 - 上手い!!上手すぎます!!!どっちも好きすぎるのですが私の答えは決まってしまいました!!! (2021年6月15日 1時) (レス) id: 2e63a126ca (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 亜弥*さん» ありがとうございます!!(*^_^*) (2015年8月23日 21時) (レス) id: 42a026aa1a (このIDを非表示/違反報告)
亜弥* - どっちにしようかまよう! あと、これからも頑張って下さい。読むのが楽しみです (2015年8月23日 1時) (レス) id: de645498d4 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 菊姫さん» 菊姫さん、ありがとうございます!泣いてくれたなんて恐縮です>_< 励みになります! (2015年2月3日 8時) (レス) id: 1b761003cc (このIDを非表示/違反報告)
菊姫 - 前のお話を読んで泣いちゃいました!感動的ですね…これから3人の関係がどうなるのか気になります! 更新頑張って下さいっっ!! (2015年1月31日 22時) (レス) id: 22b58266a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩 | 作成日時:2014年10月20日 20時