【テニプリ】スライディングドア【幸村精市・仁王雅治】

14話 ページ14

〜仁王side〜



手のひらに残された山盛りの飴玉から一粒袋を開けて口に放り込んだ。


甘酸っぱいレモンの味が口に広がる。


アイツの話が頭に浮かんだ。


まったく、不器用じゃのぅ。


アイツは人との付き合いに真正面から向き合う。だから揺れる。


友達への想いと好きなヤツへの想いの間で悩む。


不器用なほどにまっすぐなんじゃなぁ。


幸村もそんなところに気を許したんじゃろう。


俺は世の中は楽に器用に渡って行くもんだと思っとる。


じゃけぇ、なんであんなに悩むんかはさっぱり理解できんし、煮え切らないアイツにイラついたりもするんじゃが…


小さな心の動き一つ一つに一生懸命向き合っとるアイツを見てると、そうやってがむしゃらに生きてみるのもいいんじゃないかって気がしてくるぜよ。


面白いヤツじゃのぅ。




しかし、そっと見守るなんて言っとったが、そんな簡単にはいかんじゃろ。


恋なんて好きなヤツの心が欲しくなるに決まっとる。


近づけば近づくほど。


諦めがつくくらいならそれ程の想いだったってことじゃ。


不器用じゃけど一生懸命なお前さんの恋愛の行方、見せてもらうかのぅ。




さてと。


次の体育くらいは出とくか。





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