第54話 理由はいつだって ページ7
「え？俺がしたかったからだよ」
あっけからんとした様子で、彼は答えた
これには審神者は狐につままれたような顔をする
「だってずるいじゃん！！」
だだっ子のように、彼は続ける
「山姥切……国広の方！さんだけ真名知ってるじゃん！！」
「いやまあ、そりゃ幼い頃から一緒だしね！？」
即座に肯定と否定を混ぜた言葉で返す
「偽物くんの癖に……！！」
「写しと偽物は違うぞ、本歌」
「うるさい！」
隣で山姥切同士の会話が混ざるが、鯰尾たちは気にも止めない
「だからね、俺考えてさ。主が名前教えてくれないならつけちゃおーって」
「……」
そっか、と審神者は呟くと少しだけ笑った
「まあ山姥切国広さんは買収したんですけどね」
「君かーーー！！！」
いきなりの爆弾発言に、長義が叫ぶ
とてつもない剣幕で詰め寄る長義に、鯰尾は「異議あり！」と挙手をした
「だって主絶対適当なやつにして、さっさと終わりにしようとするじゃん？なら昔馴染みの山姥切国広さんがいればある程度抑制できるからなー！！」
「ぐうの音も出ない反論どうも！！」
実際その通りだったので、審神者は「よく見てるなー」という感想を思い浮かべ、山姥切国広から貰ったせんべいを頬張る
次に骨喰と長谷部が口を開く
「俺は単に兄弟が楽しそうだったから参加しただけだ」
「主の事と言えば俺でしょう！という事で立候補させていただきました」
ペコリと長谷部が一礼をする
骨喰はこの後使用する投票箱の製作をしながら話していた
「まあ俺はそこまで興味はなかったんだけどね」
長義がややふて腐れたように話し始める
「一応……主には世話になったし、やってもいいか、とね……興味は無かったけど」
とゴニョゴニョと言い始める長義
(別に国広が審査員になるからって張り合いたかった訳でもないしな。興味はない、名前決めには本当に興味はないからな)
(でもまあ、こうやって皆で何かを決めるというのはなかなかに楽しいものだな)
(……この本丸に大分毒されてきたか……？いやいや、まさか、そんな……わけないよな……？)
心の中でも言い訳をしているものの、本当はノリ気であったのが、筒抜けである
素直じゃないなあ、と審神者は長義に暖かい目を送る
「何？」
「いや、素直じゃないなあって」
「は？」
彼らは審神者の目を知らない
特に政府に所属していた刀には秘密にしている
これが知られれば、政府に連行される可能性が高いからである
第55話 うやむやに、あやふやに。それでいて確かなもの→←第53話 彼女の心は
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とあるさにわ | 作成日時：2022年5月31日 14時
