第51話 錯乱する長谷部 ページ4
「そもそも、そもそもだよ。主」
諦めたのか、はたまた文句を垂れたいだけなのか
長義が告げる
「安直すぎるんだよ。なんだいさっちゃんて。名前を舐めてるのかな？」
「うーん正論！」
「これ私の名前決めるやつだよね？？」
ボロクソに言われ、最早変な名前じゃなければいいかなーと審神者は机に体を預けた
「そもそも名前とは人を区別するだけでなく意味合いを持たせることによって──」
「尺無いんで次行きまーす」
「は？おい！」
長々と語り始めようとする長義をぶったぎった鯰尾は、沈黙している長谷部に気付いた
「あれ？長谷部さんどうしたの？」
「……いや、その……なんだ……」
明らかに何かを葛藤している長谷部
続けて長谷部は、
「主の名前を決めるという重要で尚且つ大切で素晴らしい案件の審査員として立候補したはいいが主との平成遠征等の折に気軽にさっちゃんとお呼びしていいのかと聞かれたら俺は果たして呼ぶことができるのだろうかいやしかし主がそれを望むのならさっちゃんという名前にした方がいいとは思うがしかしまだ何かいい名前があるのならそちらにしたいと思うしかといって主の提案を却下するなんてこと俺には」
「は、長谷部？」
早口で永久に語り始めるのではないだろうか、という勢いでひたすら呟く長谷部
そのガチすぎるコメントに、会場からは「やべえ」という雰囲気が流れ出す
「主命とあらば！！さっちゃん呼びも！！！させていただ」
「ごめん長谷部主が悪かった！！！」
しばらく語った後に意を決したかのように大声を出す長谷部に負けじと審神者は声を張る
どうどう、と長谷部の頭を撫で落ち着かせる
その間長谷部はやや涙目になりながら深呼吸をしていた
「はーいんじゃ長谷部さんも落ち着いてきたし、改めて名前案募集するよー」
そんな鯰尾の声に、いくつかの手が上がる
だが先程の長谷部の様子からして下手な名前は出せないと踏んでいた
安定がまずは発言する
「“奏”とかどう？」
「ふむ、なかなかに良さそうな名前だな」
やった、と小さくガッツポーズを決める安定
続けて清光も発言した
「えー？それよりもさー“陽葵”とかよくない？主いつも明るくてそれっぽいし」
「ああ、なかなかに主のイメージに近い名前だ」
「でしょでしょ〜！」
朗らかに笑う清光
そんな清光を見て安定は「僕の名前の方が合うよ」とぼやく
「“彩羽”はどう？」
「そうだな……主のイメージとは違うが良い名だ」
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作者名：とあるさにわ | 作成日時：2022年5月31日 14時
