【刀剣乱舞】審神者が真名を明かすまで弐 (ページ18)

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第65話　血筋ページ18

「主、少しいいでしょうか」
「んあ？どうしたの、日光さん」

　審神者の執務室に、日光が何冊かの本を片手に訪れた

「この間演練で当たった、＊＊という審神者ですが……」
「あー……うん、その人ね、違うのよ名前」
「？ですがここには確かに……」

　日光は演練相手の名前を記入しては、過去の戦績を照らし合わせていたのだ
　しかし、記述とは違うという審神者の言葉に彼は驚いた

「彼女の中の人は、兄さんのご先祖様ってとこかな」
「なるほ……はい！？」
「ご先祖様」

　あまりの出来事に、思わず声が裏返る日光
　構わずに、審神者は続ける

「元はね、橘グループっていう会社で、呪術とかとは縁がなかったらしいんだけど、ある時から術者が覚醒しちゃって、寺社に勤めて早150年」

　審神者は日光の持つ本を手に取る
　そこには、橘家の家系図があった
　適当にパラパラと捲る審神者
　真名を教える訳にはいかないので、２人の名前に認識阻害の術をかける

「これがご先祖様の名前ね。……それで、血は代々色濃くなっていって……ほら、これが兄さん」
「橘家の者、だったのですか」
「まあ絶縁関係だけどね！あはは！」
「笑っていいのですかそれは……」

　ドン引きをしながら、日光は答える
　審神者は立つのに疲れたのか、飽きたのか、日光に座るよう促した

「そりゃまあねえ。元々兄さんが『やってられっか！！』って逃亡して審神者になったのよ？後はまあ、私が原因かな……」

　ポツリと、呟く審神者
　そんな彼女に日光は疑問符を浮かべる
　審神者はあまり昔の話をしたがらない
　当たり障りのないどうでもいい所や、この本丸発足当時のこと
　その辺りは話すが、肝心な所はいつだってはぐらかす
　今もそうだった

「兄さんは『気にすんな』って言ってたけど、止めを刺したのは多分私という存在」

　この目を利用しようとした、橘家の存在
　その為に「お前たちは俺の敵だ」と宣言した兄の姿
　元々険悪だった関係は、絶たれてしまったのだ
　それでも、肝心な所は伏せて話す

「愛されてる、か」

　審神者の一人言は、届く前に溶けていく

「主、今なんと──」
「あ、ごめん」

　なんともない顔で、また彼女は笑う
　そして、愚痴を吐き出していく

「妹溺愛してる癖にさ、いきなり本丸裏にある罠だらけの森林に放り込んだり、山のようにある呪物解呪させたりする！？」
「え、いや、その」
「鬼だよね！？」
「だーれが鬼だ」
「鬼が出た！！日光さんヘルプミ！！」