#９４「敵顔」 ページ44
暗くおどろおどろしい森を五人で走っていた。
最初こそ突然の敵の襲来に膝を震わせ私に背負われていた実だが今はちゃんと自分の足で走っている。幼馴染の成長に場違いにも笑ってしまった。
合宿三日目の夜、クラス対抗の肝試しが行われることになった。まぁ補修組、もとい賑やかし組が先生に連れていかれてしまったので空気が神妙になったものの、一組目が出発してからは早かった。なんせ次の一組が三分後に出発するからな。
「はずれ、だよ。残念だね」
「ええぇ、自信あったんだけどなぁ…」
一学期の初期に緑谷くんに出した私のもう一つの個性は何かという問題。夏休みまでという期日だったので答え合わせをしたのだが見事に外してくれた。元々当てられる気も無かったけどさ。
ピクシーボブの声が聞こえて、出発した組の後姿からするに蛙吹さんとお茶子さんだろう。うんうんと分からない私の個性に思考を巡らす緑谷くんを面白がるように見ていれば、ふと辺りの焦げ臭さに気が付く。不穏だ。
「っ！！ピクシーボブ！！」
誰かのか細い悲鳴が聞こえた。実だろうか。
敵と思わしき、いいや絶対に敵である彼等にピクシーボブが引き寄せられ、倒れる。この場に居る全員に緊張が走った。
さて、うん。マンダレイの指示で緑谷くんを除いた五人で合宿所に向かっている中、私は突然小さくなり硬い膜？に覆われてしまった。何言ってるか分からないって？私も分からない。
下の黒いのは誰かの手袋だろうか。飯田くんや実の私を呼ぶ声が聞こえる。見上げれば仮面を付けた奇術師のような人がじっと私を見ていた。
「まったく、君がいなくなった事にもう気が付いたのか。早いな、いや、君が特別大切にされているだけか」
うんざりしたような口調でさっさと木の上を移動していく奇術師は逃げるだけでなく、ちゃんと目的の場所があるらしい。進行方向選択に迷いがなかった。
もしかして敵に捕らわれたのだろうか。びゅんびゅんと通り過ぎていく木の葉を見ながら冷や汗を垂らした。
「荼毘、柊だ」
「あぁ」
明らかに敵顔である。荼毘と呼ばれた人は奇術師から私を受け取った。奇術師はさっきまで移動していたにも関わらず、またどこかへと去る。疲れないのか。
ちらりと手の中の私を一瞥しポケットへ仕舞った彼にもう少し大切に扱えよ、とか思いつつも真っ暗になった世界に、昼間の疲労も手助けし私は、
寝た。
ぶっちゃけ自分でもどうかと思う。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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柚子(プロフ) - いやあの……ほんと……ルビの振り方天才すぎます。今まで読んできた小説の中で1番迫真な（？？）続編のお知らせで正直めちゃくちゃ笑いました。最高です。応援してます！！ 初コメ失礼しました*ˊᵕˋ* (2021年9月20日 0時) (
レス) id: 15ce971549 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 最後めっちゃじわじわきてコメント欄みたらもう声出して笑った笑笑笑笑 作者様好き (2021年8月25日 20時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
ニア(プロフ) - めっちゃシリアスで柊ちゃんは、世界はどうなるの!?……と思ってたらまさかの 続 編 あ り ま す で吹き出しましたwww (2020年4月28日 15時) (レス) id: 95c832e6cf (このIDを非表示/違反報告)
岡本さんのキャラだったらなんでも好きな人(プロフ) - めっちゃシリアス！？って思ったら続編！！頑張ってください！ (2018年3月9日 0時) (レス) id: a65a5fd2aa (このIDを非表示/違反報告)
にゃーのまる(プロフ) - マジか！？ってなりました。かなり呆気ない打ち切り漫画の様な終わり方だったので続編があって嬉しいです（*'‐'*)♪ (2018年3月7日 22時) (レス) id: 4d95e3749f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊歩
| 作成日時：2016年12月3日 18時
