#９０「月並み」 ページ40
ガスゴスとそこらの大きめの枝を個性で強化した、イメージとしては剣を魔獣へ振り下ろし切断していく。二つ作ったから連続的に攻撃できるのは凄く効率的だが、若干中二病くさくないかこれ。
「なんか楽しくなってきたなー」
「それならいいのですが……あの、疲れませんか？」
「いや、全然。重さまでは変わってないからなんてことないよ」
魔獣を叩き切る際に重そうな音を立てているからか、百さんが心配しながら訊ねて来た。にこりと笑って答えれば彼女の表情は依然として晴れないものの、それならいいんですけど、と控えめに微笑んだ。可愛い。
ズルズルと枝の先を引き摺りながら歩いて考える。後合宿所までどれくらいだろうか。視線を上げても見えるのは深緑の葉ばかりで宿舎の目印の山なんて見えやしない。
脚力を強化して軽く飛び、木の枝に着地する。葉を掻き分けてやっと見えた空はまだ青い。山もまだ遠かった。
ストンと着地して再び歩く。
「ねぇ、このキノコって食べられるかなぁ？」
「ケロ、芦戸ちゃん毒だったら危ないわ」
「……〜〜〜もうお腹空いたぁああああ！！」
そう叫んで膝を着いた芦戸さんはお腹を抑えた。ぐぅぅうう、とタイミングよく鳴った芦戸さんの腹の虫にふっと笑い、地面に膝をつき彼女の背中に手を置く。
「芦戸さん、もう少し頑張ろう？」
「ひ、柊さんー……もう無理だよぉ、お腹空き過ぎて死んじゃうよぉ」
「おぉ、マジで死にそうな声だね。ここでスッと食べ物を差し出せたら良かったんだけど、生憎全部バスの中でさ……ほら、合宿所には美味しい料理が待ってるよ、だから、ね」
「その気遣いイケメンかよぉ！」
ガシッと腰に手を回して抱き着いてくる芦戸さんの頭を軽く撫でる。まったく、どこがイケメンだよ、こんな私のどこが。少し先で私達を待っているクラスメイトを尻目に芦戸さんの手を取り、立つように引き上げる。
「うぉあっ」
「芦戸さんなら出来るよ。何て言ったって、ヒーローを目指してるんだから」
だから頑張ろう、と月並みな言葉しか掛けられない私の語彙が残念過ぎて笑えるなぁ。変な声を上げてキラキラをしたオーラを発する芦戸さんに少しだけ圧倒された。
まったく、なんて良いクラスメイトなのだろうか。私達を待っていてくれるなんて。あの爆豪くんもだぞ？珍しい過ぎて雪が降らないか心配だ。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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柚子(プロフ) - いやあの……ほんと……ルビの振り方天才すぎます。今まで読んできた小説の中で1番迫真な（？？）続編のお知らせで正直めちゃくちゃ笑いました。最高です。応援してます！！ 初コメ失礼しました*ˊᵕˋ* (2021年9月20日 0時) (
レス) id: 15ce971549 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 最後めっちゃじわじわきてコメント欄みたらもう声出して笑った笑笑笑笑 作者様好き (2021年8月25日 20時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
ニア(プロフ) - めっちゃシリアスで柊ちゃんは、世界はどうなるの!?……と思ってたらまさかの 続 編 あ り ま す で吹き出しましたwww (2020年4月28日 15時) (レス) id: 95c832e6cf (このIDを非表示/違反報告)
岡本さんのキャラだったらなんでも好きな人(プロフ) - めっちゃシリアス！？って思ったら続編！！頑張ってください！ (2018年3月9日 0時) (レス) id: a65a5fd2aa (このIDを非表示/違反報告)
にゃーのまる(プロフ) - マジか！？ってなりました。かなり呆気ない打ち切り漫画の様な終わり方だったので続編があって嬉しいです（*'‐'*)♪ (2018年3月7日 22時) (レス) id: 4d95e3749f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊歩
| 作成日時：2016年12月3日 18時
