#６９「 」 ページ19
言うなれば、酩酊状態。
家に帰宅してからどうしたのかは全く覚えていなかった。体育祭から一夜経った。
ふわふわと足元が浮く感覚と何かが腹の底から逆流してくる感覚におえっと嘔吐く。
開いた口からは液体やものが吐き出される訳でも無い。いつの間にか無くなっているふわふわ感と逆流感に気のせいだったのかと少し首を傾げた。
外出する格好から部屋着に着替えていない事に気が付きながら自室から出て階段に向かう。手に馴染む手摺に一応といった風に手を添え、階段を下り切った。玄関に置いてある靴に一つ、酷く懐かしく感じるものがあった。でも誰が履いていたのかは思い出せない。
「A？」
「...」
少し開いたリビングに通じる扉の奥に動く人影が見えた。私の名前を呼んだのも、きっとその影の主だろう。
その声を聞いた瞬間に全身の産毛が逆立つような衝動が、ぐわんと、脳味噌を揺らした。平衡感覚を一瞬失い、崩れ落ちそうになる。
泣きそうなくらいに懐かしい。懐かしいのに、誰かが分からない。答えを知ろうと足音を殺しながら一歩一歩確実に扉へと向かっていく。
「A...？」
先程より疑惑に満ちた声で名を呼ばれる。女性だ。心地の良い落ち着いた声に緊張に固まっていた体が解れるのが分かった。
金属の冷たいドアノブを掴む。じんわりと私の掌から熱を奪い、温かくなるドアノブを気にせずに扉を開けるとそこには、大きな窓から差し込む光で逆光になり詳しくは分からないが、声の通り女性が立っている。
「もう、やっぱりAだ」
そう言って私に向かって薄く微笑んだと思われる女性に今度こそ膝から崩れ落ちた。くらくらする脳味噌と視界に意識が沈降していくのを感じて、私は、彼女を呼んだのだ。
「 」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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柚子(プロフ) - いやあの……ほんと……ルビの振り方天才すぎます。今まで読んできた小説の中で1番迫真な（？？）続編のお知らせで正直めちゃくちゃ笑いました。最高です。応援してます！！ 初コメ失礼しました*ˊᵕˋ* (2021年9月20日 0時) (
レス) id: 15ce971549 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 最後めっちゃじわじわきてコメント欄みたらもう声出して笑った笑笑笑笑 作者様好き (2021年8月25日 20時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
ニア(プロフ) - めっちゃシリアスで柊ちゃんは、世界はどうなるの!?……と思ってたらまさかの 続 編 あ り ま す で吹き出しましたwww (2020年4月28日 15時) (レス) id: 95c832e6cf (このIDを非表示/違反報告)
岡本さんのキャラだったらなんでも好きな人(プロフ) - めっちゃシリアス！？って思ったら続編！！頑張ってください！ (2018年3月9日 0時) (レス) id: a65a5fd2aa (このIDを非表示/違反報告)
にゃーのまる(プロフ) - マジか！？ってなりました。かなり呆気ない打ち切り漫画の様な終わり方だったので続編があって嬉しいです（*'‐'*)♪ (2018年3月7日 22時) (レス) id: 4d95e3749f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊歩
| 作成日時：2016年12月3日 18時
