【SLH】緩やかに【BL】 (ページ9)

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続ページ9

結局、りょーの押しに負けて星を見に行くことになった。あれからもう少し練習して、スタジオを出たのは深夜2時。マネージャーのかつじが貸してくれた車を、りょーが運転して人気のない暗い高台まで。
昔こそよく2人で星や夜景を見に行ったりしていたけれど、それはよくある友達同士の付き合いで、特に深い意味なんてなかった。確かに、2人の関係に名前がついてからは一切してなかったな、なんて考えながら運転席を盗み見る。コロコロと表情の変わる彼を眺めていたら、あっという間に目的地。やっぱ幸せな時間って過ぎるん早いんやね。

「俺先に見てきていい！？」

とシートベルトを外しながらキラキラした目でこっちを見つめるもんだから、そんなん許すしかなくない？やったー！と嬉しそうに車から降りて行くのを見送って、10秒くらいしてから自分も外に出る。

月明かりに照らされ、彼はこちらに背を向けて立っている。その姿が、もう会えないアイツと重なる。ステージの光、観客の視線。全てをかっさらってのびのびと歌うアイツ。ステージ中央で誰よりも光り輝くアイツを、左斜め後ろから見ているのが俺で、いつだってそこが俺の居場所だった。

「......海老名、」

彼がゆっくりと振り返る。暗くてよく見えないが、間違いなくそこには『SLH 福重亮』ではなく、『SA 海老名亮』が立っていて。

「なんで、月に帰るんじゃ、」

「...言ったろ、壇ノ浦も連れてくって。迎えに来たよ、勇磨。」

彼がゆっくりと近付いてくる。俺の頭は疑問でいっぱいで、1歩も動くことができない。聞きたいことが沢山あったが、上手くまとまらず言葉が出てこない。ただ、嬉しかった。もう会えないと思っていたアイツが、今目の前で再び輝いている。すごく眩しくて、愛おしくて、二度と手離したくなくて。傍に来た彼を思い切り抱きしめる。

「それ、寂しくなったら連れてくって話しやったやん。」

「...寂しかったんだよ。言わせんなバカ。ほら！帰るぞ、勇磨。」

「はいはい、海老名さんにはかなわねーや。」

そっと彼の唇を奪うと、照れくさそうに笑った。

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「月、帰ったみたいやね。」

「んぁ？なにが？」

「壇ノ浦と海老名さん。」

「ほーん、じゃあSAも解散かぁ。」

「せやねぇ。あ、それかユニット組む？俺と、海ほたるで。」

「...いーじゃんそれ。ユニット名どうする？道頓堀ほたる？」

「......」

「「だっせぇwww」」