【SLH】緩やかに【BL】 (ページ6)

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お楽しみ:犬顔ページ6

窓から差し込む光と、キッチンから聞こえるトントンという規則的な心地の好い音で目が覚める。深呼吸をすると、空腹を刺激する匂いが鼻腔をくすぐる。今日は豚汁か、なんて考えながら寝室を出ると、此方に背を向けてキッチンで作業する男が1人。静かに近付いてその細い身体を後ろから包み込むと、間抜けな声を上げて此方を振り返った。

「おわ、っ！？…あぁ、なんだゆーまか。今日はいっぱい寝とったねぇ。おはよ。」

「んー…おはよ、りょー。朝飯あんがとな。」

「いーえ。もうすぐできるけ、ねぼすけさんはリビングで待っちょって。」

そう言って俺をひっぺがそうとしてくる。いつもなら素直にリビングへ向かうところだが、何故か今日は彼の傍を離れたくなくて、抵抗するように腕に力を込める。すると、それに気が付いた彼が怪訝そうな表情を浮かべた。

「ちょ、ゆーま？離れてくれんと動きづらいんじゃけど。」

「…今日はりょーのそばに居たい気分なの。ダメ？」

素直に伝えると、まるで豆鉄砲を食らったような顔になり、頬がみるみる赤くなっていく。彼がパッと顔を逸らして数秒俯いたので、諦めたかな、なんて思っていると

「……だーめ！！そういうのはご飯の後にして！！」

勢いよく口に卵焼きを突っ込まれた。してやったり、と満足気な表情の彼に少し腹が立つが、卵焼きが美味いので許すことにした。あとでイチャイチャする許可も得たし、素直にリビングで待つことにしよう。
ソファでスマホを弄っていると、おまたせーという声と共に、卓上に朝食が並べられる。白米と豚汁、鮭の塩焼きに卵焼きに柴漬け。いかにも日本人、って感じ。テーブルを挟んで向かい合わせに座り、いただきます、と静かに手を合わせる。まずは豚汁から頂くとしようか。

「……ん、この豚汁すげーうまい。」

「んっふふー、そうでしょうそうでしょう。豚汁作ったことなくてさぁ、この間シラハンに教えてもらったんよね。ゆーまに喜んでもらえてよかったぁ。」

「ふーん。…ま、しげにしては上出来なんじゃね？」

「え！？何それ！！さっきまですげー褒めてたじゃん！！！！」

「しーらね。」

「なんよそれ！！」

別にりょーが内緒でシラハンに料理教えて貰ってたから拗ねてるわけじゃねーし？俺が教えてあげたかったなーとか思ってねーし？…ちゃんと美味いのが腹立つ。