アイノカタチ:KO2 ページ4
ハッ、と視界が開ける。
目に飛び込んでくるのは、グチャグチャで所々赤色が染み付いたシーツ。散乱した部屋。そして、元の肌色が見えないほど違う色に染め上げられ、息絶え絶えの恋人。
嗚呼、また だ。
「ぁ、あ……げ、げーちゃん、ごめ、…また、おれ……」
全部俺がやった。散らかった部屋も、彼の体を染める青黒い痣も。
昔からの悪い癖。彼と付き合いだしてから、更に悪化してしまった悪い癖。
不安で仕方なくて。俺が本当に愛されているのか分からなくて。彼を取られたくなくて。事ある毎に、俺は彼にあたり続けた。
こうしないと、俺の気持ちは伝わらないから。
身体に覚え込まえないと、いずれ消えてしまうから。
だけど、こんなのはおかしいって脳は分かってて。だからこんな風に、いつも涙が止まらなくなる。俺の口からは「ごめん」しか出なくなる。
でも、
「しょー、た、……大丈、夫、やから……」
…ほら、彼は許してくれる。大丈夫って言って、俺がつけた痣で満たされた細い腕で優しく抱き締めてくれる。俺のことが好きだから。俺のことを愛してるから。
「……げーちゃん、俺のこと、好きでいてくれる?」
「…………うん、」
そう言って、頭を優しく撫でてくれる。
ほらね、俺は愛されてる。
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作者名:おれお | 作成日時:2022年3月20日 12時