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第3話 ページ3

「どうした?」



凛が尋ねると(人1)と名乗る女は

宗介の顔をマジマジとのぞき込む。



「あの...

この前バスで会いませんでしたか?」


「...いや。そんな事言われても顔見えねぇし」


「あ、そうでしたね。私ったら...ごめんなさい」



慌てて女がマスクと帽子を外すと

笑みを浮かべる口元、丸く青い瞳が姿を見せる。

その顔を見て宗介は目を丸くした。



「なんだお前ら顔見知りか?」


「顔見知りというか、バスの中で一度会ったの。

この人がお婆ちゃんに席を譲ってくれてね」


「へえ...宗介、こっちに来てから出かけてたのか」


「凛くんはこの人と知り合いなの?

この寮の人じゃないよね...クラスメイトとか?」


「ああ...ほら、宗介」



凛に促され、宗介はあー。と声を出してから



「山崎 宗介です。こいつと同じで三年で、

ついこの間、東京の学校から転校してきました」



と短く自己紹介をする。



「(人1)。宗介は水泳部に入るから

この寮に寝泊まりすることになる。

無愛想なやつだが根はいい奴なんだ」


「うっせ」



宗介が凛の横腹を軽く肘で叩くと

(人1)はクスクスと笑う。



「二人は仲がいいんだね」


「ああ、なんて言ったってライバルだからな」


「ライバルかあ...

すごい青春!って感じの響きだね」


「何言ってんだ(人1)も

俺たちと年変わらねぇだろ」



凛の言葉に宗介はそうなのか?と尋ねる。

それに対して頷いて肯定する(人1)。



(年下かと思った)



少し幼い顔つきの彼女を見て宗介はそう思った。



「えっと、改めまして山崎くん。

九条 (人1)です。

残り一年だけどよろしくお願いします」



ゴム手袋を外し、右手を差し出す(人1)。



「ああ」



宗介はその己よりも

ひとまわり小さい手を握り返した。



_____ _ _____ _ _____ _ _____ _ _____ _ _____



「(人1)、いいやつだったろ?

校内で人気あるんだぜ」


「へえ...」



凛の言葉に宗介は興味無さそうに返事をする。



「そう言えば宗介。

こっちに来て何してたんだ?」


「...散歩だよ」


「はあ!?お前よく迷わなかったな!!」


「お前なあ...

俺だっていつも迷ってるわけじゃねぇよ」


「と、言いつつ

どうせ他の人に聞いたとかそんなところだろ?」



宗介が無言でいると

凛はニヤリと笑い、図星か。と口にする。



久々の再開で浮かれている

凛の意識をそらすことに成功し、

宗介は内心ホッとしていた。

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作者名: | 作成日時:2018年9月4日 22時

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