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第11話 ページ11

しばらく時間が過ぎ、

宗介は課題を終えた手を止める。

後ろを振り返ると二人はまだ勉強をしていた。



凛の説明をノートにメモし、

頷きながら問題を解き進める(人1)。

真剣な眼差しは問題集に向けられていた。


(人1)は自分たちとそう変わらない年齢。

しかし彼女は今、

この学園で掃除を仕事としている。

高学歴を求められるこのご時世で中卒での就職だ。



(...家庭の事情か)



他人の家の事情に首を突っ込むつもりは無いが、

勉強熱心のように思える彼女に限って

その機会を奪われるのがなんとも皮肉なものだ。

授業中、

寝ている生徒を見たことがあるから尚更だった。



「よし、なら今日はここまでだな」


「ありがとう凛くん」



予定していた範囲が終わったのか

勉強道具を仕舞い始める(人1)。

その最中、

パチリと青い瞳とエメラルドの瞳が合う。



「........ッ!!」



あからさまに目線をそらし、手早く荷物をまとめる。



「それじゃあまた明日!

凛くん。ありがとうございました!

山崎くんもお邪魔しました!」



ぺこりと頭を下げて、急に立ち上がると

まだ力が入りきらないのか、ふらりとよろける。

宗介はすかさず手を伸ばすがそれよりも先に



「おっと。気をつけろ」



凛が体を支えた。

目的を失った宗介の腕は宙をかく。



「ご、ごめんね。ありがとう」


「おう。部屋まで行けるか?」


「うん。それじゃあお二人とも、

改めて失礼しました!」



そっと扉を開けて

廊下に人がいないことを確認したら

小走りで部屋をあとにする(人1)。


部屋から顔を覗かせて

その後ろ姿が見えなくなったのを確認して

凛は扉を閉めた。



「それで宗介。

露出狂になるつもりは無いんじゃなかったのか?」



宗介は顔を背けてうっせえ。と口にする。



「んで、どうだった?

見られたんなら(人1)、反応してたろ?」



凛はそう尋ねるが

曖昧な質問は確信を持っている。

返答したらネタにされるのがオチだ。



「別に...なんの事だ」


「またまた...宗介。

さては惚れたか?」


「んなわけねぇだろ」


「...まあいい。

今日のことでわかっただろうけど

毎週金曜日、この時間帯に勉強教えるから

覚えておいてくれ」


「わかったよ」


「露出狂になるなよ」


「ならねぇよ!

てか水着とほとんど変わらねぇじゃねえか!」

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作者名: | 作成日時:2018年9月4日 22時

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