第2話 ページ2
「宗介!
これから校内案内してやるよ」
終了のチャイムと同時に
数年ぶりに再開した友人、松岡凛が
声をかけてきた。
少し長めの赤髪を揺らしながらニヤッと笑うと
特徴的な歯並びが口からその姿を覗かせる。
声をかけられた宗介は
黒い短髪をガシガシと掻くと立ち上がる。
「んじゃ頼む」
「って言っても宗介、
教えても迷子になるもんな」
「うるせぇ」
わざとらしく言う凛に向かって
パンチを繰り出すと
分かってましたと言わんばかりに
余裕な笑みを浮かべて、凛はそれを受け止めた。
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「んで、さっきの道がここに繋がってるから。
それでこの道をまっすぐ進めばプールに行ける。
そこはまた明日教えるな」
「あー...」
「...宗介。お前ぜってえ分かってねぇだろ」
「ここの学校広すぎんだよ」
宗介はその広い校内を見渡し、ため息をつく。
全寮制で男子校の鮫柄学園は
施設が充実もしているため建物も多い、
転校してきたばかりな人なら迷いやすいだろう。
元々方向音痴な宗介にとっては
鮫柄学園は迷宮に等しかった。
「ま、何かあれば凛について行くさ。
頼りにしてる」
「お前なあ...あ、最後に寮な。
部活ごとに大体かたまって、
二人一部屋になってる。こっちだ」
凛が歩き出すと
宗介は大人しくその後について行った。
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「ここが俺たちの寮だ。
個室の掃除は個人でやるのが原則、
長期休暇の前に大掃除があるが日頃は...お!
ちょうど良かった。(人1)!」
凛の目線の先に脚立に立ちながら
窓拭きをする人の背中が見える。
その人物は振り返ると作業をする手を止め、
脚立から降りる。
凛はその人物の元へ行くと宗介に紹介する。
「宗介。
この人が日頃の水泳部の寮を
掃除してくれてる人だ」
清潔そうな白に統一された服を着たその人は
その体つきから女性であることがわかる。
マスクと白い帽子をかぶっているため
はっきりと顔はわからない。
背が低いその女は見上げるように
宗介見ると笑っているのか目を細めて挨拶する。
「えっと、こんにちは。
初めましてですよね。
この寮の清掃担当の九条 (人1)です。
...ってあれ?」
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作者名:学 | 作成日時:2018年9月4日 22時