司くんと試験勉強をしない/1 ページ28
「スイヘイリーベ、僕の船、乗ってコスモスパイスどっち……あれ」
放課後。
今日はテスト期間だからと司の家で二人、勉強をしていた。
……していたはずだが、勉強があまりにもつまらなくて、なんとも捗らない。
リケジョに生まれてみたかったなーなんてくだらないことを考えながら、なんとなく隣に座る彼を見やる。
真剣な表情で手に持った冊子を眺める司は、いつ見てもかっこいいな……なんて。
何か思いついたような素振りを見せシャーペンを手に取り、ノートにさらさらと書き連ねていく彼。
私はこの顔が好きだ。整っているからっていうのもあるけど、司の顔つきには芯の強さみたいなものがあって、そこに惹かれているんだと思う。
特にショーのことを考えてるときの横顔は格別だ。
今みたいに、集中しているときの凛々しい横顔なんかは普段より――ん、今みたいに?
ふと気になって、彼の手元を覗き込む。
「……ちょっと待って、何書いてるの?」
私が見ていることに全く気付かなかったらしい彼は、びくりと肩を震わせた。
「な、なんだ急に」
「あ〜やっぱり、司勉強してなかったんじゃん!」
司が熱心に読んだり書いたりしていたのは、言うまでもなくショーの脚本だった。そんなことだろうとは思った。
「……Aだってしてないじゃないか」
「それは司のせい」
「なんでだ!!」
耳元で怒鳴られて思わず顔を顰める。
うるさいと言いつつ、司に見とれてたせいだと補足すれば、彼は満足げに笑った。
「オレのスター性に魅了されてたというのであれば仕方がないな!」
スター性とか今は関係ないけど、司が嬉しそうならまあいいか。
「……じゃあ、ぜんぶ司のせいね」
司の肩に頭を乗せて、そのまま体重をかけるように寄りかかる。
するとすぐに腰に手が添えられて、ぎゅっと抱き寄せられた。
こういうところが本当にずるいんだよなぁ……。
いつもより少し速い心臓の音を聞きながら、私も腕を伸ばして抱きしめ返す。
しばらくお互い無言のまま体温を分け合っていたけれど、ふと思い立って口を開いた。
「ねぇ司」
「どうした?」
私の髪を撫でていた手を止め、彼がこちらを見下ろしてくる。
その瞳の中に映るのは紛れもない私だけで、それがたまらなく嬉しい。
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あきいろ(プロフ) - もみじさん» 恐縮です!! しかし毎秒更新となると比喩とかじゃなく作者がしんでしまいます (2023年2月1日 6時) (レス) id: 1e0caf27cc (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - うちも死ぬほど好きです。死ぬほど欲を言うと毎秒更新してほしいです← (2023年1月31日 23時) (レス) id: d88f17f239 (このIDを非表示/違反報告)
あきいろ(プロフ) - りにゃぴさん» しぬほど嬉しいです……あまり更新できてなくて申し訳ないですが、もったいないお言葉ありがとうございます!! (2023年1月16日 6時) (レス) id: 1e0caf27cc (このIDを非表示/違反報告)
りにゃぴ(プロフ) - えっしぬほどすき。もっと評価されるべきだろ (2023年1月16日 2時) (レス) @page32 id: c7173f4811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あきいろ | 作成日時:2022年7月27日 20時