検索窓
今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:10,078 hit

4 ページ26

「……あれ、まず逃げるんじゃなかったの?」

Aの口元が弧を描く。

「それとも――判断力奪われちゃってた?」
「いや……Aは出会って三日とは違うだろ……いきなりで驚いただけだ」

なんとか絞り出した声で答えるも、内心では冷や汗をかいていた。
図星だったのだ。

彼女に迫られて、頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなってしまっていた。

「……いつまでそうしてるつもりだ?」
「え〜。じゃあ今離れるからちょっと待ってて」


彼女が一歩後ろに下がった瞬間、やっと体の硬直が取れた気がした。

「何がしたかったんだお前……」
「壁ドンだけど?」
「そういうことじゃない!!」

平然と返された言葉に対して反射的に叫ぶ。しかし、彼女は意にも介さぬ様子で話を続けた。

「ずるいのなら、司くんより私の方が得意かもと思って。で……どうだった? ヒロインの気持ちわかった?」
「……正直、ずるいとは思った」

オレが素直に認めると、彼女は目を白黒させてから満足したように笑った。

「いや〜憧れてたんだよね、壁ドン!」
「する方に憧れてどうするんだ……」

清々しすぎる彼女の発言に、脱力しきる。
すると、Aはこちらをじっと見つめて、ぽつりと言った。

「これで私が君に夢中なんだってこともちゃんと伝わったよね」
「そうだな、嫌という程思い知っ……ん?」

言葉の意味を理解しきれなくて思考停止する。
数秒遅れて理解した瞬間、全身の血が沸騰するような感覚に襲われた。

「おま、おまえ……!!」
「気が済んだよ、ありがとう司くん!」

そう言って笑顔を見せると、Aは軽やかな足取りで歩き始めた。

「あっ! 待っ、置いていくなよ!?」

慌てて後を追うも、彼女はこちらを振り返ることなくどんどん先に進んでいく。

5.→←3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
48人がお気に入り
設定タグ:プロセカ , 天馬司
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あきいろ(プロフ) - もみじさん» 恐縮です!! しかし毎秒更新となると比喩とかじゃなく作者がしんでしまいます (2023年2月1日 6時) (レス) id: 1e0caf27cc (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - うちも死ぬほど好きです。死ぬほど欲を言うと毎秒更新してほしいです← (2023年1月31日 23時) (レス) id: d88f17f239 (このIDを非表示/違反報告)
あきいろ(プロフ) - りにゃぴさん» しぬほど嬉しいです……あまり更新できてなくて申し訳ないですが、もったいないお言葉ありがとうございます!! (2023年1月16日 6時) (レス) id: 1e0caf27cc (このIDを非表示/違反報告)
りにゃぴ(プロフ) - えっしぬほどすき。もっと評価されるべきだろ (2023年1月16日 2時) (レス) @page32 id: c7173f4811 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あきいろ | 作成日時:2022年7月27日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。