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「じゃあ司くんは、誰かに同じことされて嬉しいと思う？」
「……いや、オレだったらまず逃げるけどな。普通に怖くないか？」
「うん、それは確かに」
オレの言葉に同意しつつ、Aは小さく息をつく。
「ずるいらしい『そんなの』っていうのは壁ドンされながら言われたからだと思ったんだけど、そんなに判断力奪われるものなのかな？」
「……なるほど」
そこまで聞いて、やっとAが何を言いたかったのか理解できた気がする。
つまりはこういうことだ――
「Aは壁ドンに憧れてるんだな」
「……どうしてそうなるのかな」
肯定こそしないものの否定もせずじとりとした目つきでオレを見る彼女だが、オレは気にせずに続けることにした。
「だから、判断力奪われるほどずるいことをされるなんてどんなものなのか、気になって仕方なかったわけだろう？」
オレの言葉を聞いたAの顔が、徐々に赤く染まっていく。
「気になって仕方なかった、なんて言い方はちょっと語弊があるけど……」
「でも、憧れてることに変わりはないんじゃないのか」
そう言うと、Aは少しの間黙り込んだ後、「……興味はあったのかもしれない」と観念するように白状した。
いじらしさを感じて思わず口元が緩む。
「ちょっと。なに笑ってるの」
なんでもないと答えても、彼女は不満げに口をへの字に結ぶだけだった。
そんなAを見てまた微笑ましくなってしまって、今度は声に出して笑ってしまった。
「ハハ、いやーすまんすまん！ でも別に恥ずかしがるようなことじゃないと思うぞ」
「えぇー……恥ずかしがってたつもりもないんだけどなあ」
そう言って、彼女は頬に手を当て首を傾げる。横からでもわかるくらいに赤くなったままの顔を見て思う。
普段からからかわれているのだ、たまにはやり返したっていいだろう。
「……あー、でもそうだな」
わざとらしく咳払いをして、意識的に低い声で言ってみる。
「試しにやってみても――いいか？」
その瞬間、彼女の肩がびくりと跳ねた。
それから数秒の沈黙の後、「……うん」と小さな返事が聞こえてきた。
緊張しているのか、それとも照れているのか、彼女の瞳が微かに潤んでいるように見える。
「い、いくぞ！？ 本当にやるからな！！」
「ど、ドンと来いです」
お互いにぎこちなく視線を交わした後、意を決してAの背後の壁に手をついた。
「えー……『お前が他の男と喋るのは気に食わない』」
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あきいろ(プロフ) - もみじさん» 恐縮です！！ しかし毎秒更新となると比喩とかじゃなく作者がしんでしまいます (2023年2月1日 6時) (
レス) id: 1e0caf27cc (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - うちも死ぬほど好きです｡死ぬほど欲を言うと毎秒更新してほしいです← (2023年1月31日 23時) (レス) id: d88f17f239 (このIDを非表示/違反報告)
あきいろ(プロフ) - りにゃぴさん» しぬほど嬉しいです……あまり更新できてなくて申し訳ないですが、もったいないお言葉ありがとうございます!! (2023年1月16日 6時) (レス) id: 1e0caf27cc (このIDを非表示/違反報告)
りにゃぴ(プロフ) - えっしぬほどすき。もっと評価されるべきだろ (2023年1月16日 2時) (レス) @page32 id: c7173f4811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あきいろ | 作成日時：2022年7月27日 20時
