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「Aが――」
何かイジられたりでもするのかな、どうツッコもうかと考えていると、急に天馬くんが真剣な表情になって少し驚く。
「いつも、つまらなそうに過ごしているからだ。珍しく教室にいる日も、こうしてここにいるときも」
自覚のないことを指摘された。
私って、人から見たらそうなのか。
それとも、天馬くんが私をよく見てくれてるから、なのかな。
「Aは、何か好きなものとかはないのか?」
「ないよ……そんなの」
自分のことを聞かれたのがどこかむず痒くて、そっぽを向いてしまう。
「なら、オレを好きになるのはどうだ!」
自信たっぷりにそんなことを宣う天馬くん。
呆気にとられて何も言えずただぽかんとする。
「天馬くんを……好きになればいいの?」
「ファン一号――は、我が妹のものだから……ファン二号、は冬弥がいるな……では、第三号はAが名乗ってもいいぞ!」
「……めっちゃ微妙だね」
ちょっと照れてしまったのがバカみたいだ。
天馬くんはそういえばそーいう子でしたねえ。
「……私、好きなこと思い出した。――天馬くんからかうのが好きなのかも」
いたずらっぽく笑いかけながらからかうつもりでそう言うと、天馬くんは思惑通り簡単に「どういう意味だー!!」と声を荒らげた。
「まったく……手のかかるヤツだな」
頭を抱えた天馬くんの金髪からのぞく耳が、ちょっと赤く見えた。
午後の授業楽そうだし、今日くらいはいいかな、と立ち上がって、天馬くんと並んで体育館の階段へ足を運んだ。
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あきいろ(プロフ) - もみじさん» 恐縮です!! しかし毎秒更新となると比喩とかじゃなく作者がしんでしまいます (2023年2月1日 6時) (レス) id: 1e0caf27cc (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - うちも死ぬほど好きです。死ぬほど欲を言うと毎秒更新してほしいです← (2023年1月31日 23時) (レス) id: d88f17f239 (このIDを非表示/違反報告)
あきいろ(プロフ) - りにゃぴさん» しぬほど嬉しいです……あまり更新できてなくて申し訳ないですが、もったいないお言葉ありがとうございます!! (2023年1月16日 6時) (レス) id: 1e0caf27cc (このIDを非表示/違反報告)
りにゃぴ(プロフ) - えっしぬほどすき。もっと評価されるべきだろ (2023年1月16日 2時) (レス) @page32 id: c7173f4811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あきいろ | 作成日時:2022年7月27日 20時