君を思う-16 ページ40
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柔らかな髪が触れた指先にはまだ感触が残っている。
自分の偽りの名前を呼ぶ声も、手を伸ばそうとしたその姿も、全てを体に焼き付いている。
小さな電子音を聞きながら、降谷は深く息を吸って吐く。
「観覧車に爆弾、まったく嫌なシチュエーションだな……」
かつて同期がそれに飲み込まれたのも同じ状況だった。以前の東都水族館のことも記憶に新しい。
まさかここまでこの仕込まれた技術が役に立つとは、と逆に皮肉にすら感じる。
焦りこそ最大のトラップ。それを何度も頭の中で繰り返しなからコードを切っていく。
ぱちん、ぱちん、とコードを切る音だけが響くゴンドラの中で、テロ犯である男は依然として動かないままだ。
聞きたいことは山ほどある。そのために今爆発させるわけにはいかないのだ。
「次はこれを…切れば………」
選んでは切る、を繰り返して、ようやく最後の二本まで辿り着きうち一本をしっかりと切断した。
チカチカと数字を刻んでいたものが止まったのを確認してやっとのことで脱力する。
「ふぅ…これでとりあえずは一安心だな………ところで、そろそろ寝たふりはやめたらどうです？」
一息ついたところで、降谷は自分の背後へ言葉を投げかけた。
「……あれ、気がついてたんですか」
その降谷の言葉にガチャリと音を立てて体を起こした男が能天気な声色で答える。
「…白々しいですね。自分でも僕が気がついたことが分かっていたでしょう」
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「さぁ、どうだろう」
けたけたと笑う男に降谷は少し顔をしかめる。
「…まぁいい。爆弾は解除したしあとは迎えのヘリを「あの子、Aっていうんですねぇ」
男の声にぴくりと眉が動く。
浮かんだ薄い笑顔からはどういう意図で言っているのかは降谷でも読み取るのが難しい。
「…関係ない」
「僕、彼女に一目惚れしましてね。好きな人のことは何でも知りたい性なんだ。
何としてでも手に入れたいしそのために邪魔は排除するんです。彼女、どうやら思い人がいるみたいですし…」
ぺらぺらと話し始める男を睨みつければ、一層笑みを深めて____あぁ、そういえば。と男が続けた。
「僕、爆弾は１つだけ…なんて言ってませんよ？」
「……何？」
心臓が嫌な音を立てた。
《_____降谷さん！》
それと同時だ。
インカムから緊迫した声がしたのは。
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山梔子(プロフ) - ミモさん» ミモさん、初めまして。コメありがとうございます。色んな感想をお持ちいただけて嬉しいです。よろしければこちらの続編も今とは少し違うテイストになりますが読んでみて下さい^^ (2019年6月14日 10時) (
レス) id: 5b80796d59 (このIDを非表示/違反報告)
ミモ(プロフ) - こんなにもどかしい思いをしたり、ハラハラドキドキしたり、感動したり……。こんなにたくさんの感情にさせられた物語に出会えて、今とても幸せです。あなたに、あなたの書いた小説に出会えて良かった。連載お疲れ様でした。 (2019年6月13日 21時) (携帯から) (レス) id: 0c3426b0a6 (このIDを非表示/違反報告)
山梔子(プロフ) - リンドウさん» リンドウさん初めまして。唯一の楽しみとまで言っていただけるとは…本当にありがとうございます。長らくお待たせしてしまい申し訳なかったです。お付き合い頂きありがとうございました！ (2018年11月22日 12時) (レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
リンドウ - 本当に素晴らしい作品をありがとうございました。山梔子さんの作品が唯一の楽しみで夢主ちゃんと降谷さん二人のもどかしい想いがついに結ばれて良かったです。お疲れ様でした！！ (2018年11月21日 23時) (レス) id: 282d8947f2 (このIDを非表示/違反報告)
山梔子(プロフ) - 夜空。さん» 夜空。さん初めまして。コメありがとうございます！そう言われると書ききった甲斐がありました(^○^)次回作は宣言通り夏のお話を一つ、と書いているところですのでまたよろしくお願いいたます。 (2018年11月20日 1時) (レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山梔子 | 作成日時：2018年6月22日 12時
